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ドイツで絶賛「モモコは惑星で最高峰」なでしこ19歳谷川萌々子は何がスゴい?「えっ、そうですか!」天才少女説や30m弾より“笑顔になった質問”
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2024/09/01 11:08
パリ五輪後、ローゼンゴードの試合に出場する谷川萌々子。スウェーデンの地で、その実力を育んでいる
「年代が上がるにつれて、やれるプレーの幅が広がってきて、徐々に手ごたえは得ていきました。大人の方と試合することでフィジカルもつけられるなど本当にいい経験をしましたし。ただもっとゲームをコントロールできる選手になる必要があるかなとも課題を感じてはいましたが」
本人は当時をこう振り返っている。
さらには谷川は前述した通り、高校卒業後即ヨーロッパへと渡り、パリ五輪前になでしこジャパンで積み重ねた5試合の出場機会はすべて海外遠征だった。それだけに“事実上のお披露目”となったブラジル戦で見せた衝撃のパフォーマンスは、より増幅して映ったのだろう。
逆足で決めた40m弾も“両足での練習”の成果
それでも、ドイツの名門がかねてより注目していたとしても不思議ではない。なぜなら谷川は、17歳にして世界で特大のインパクトを残していたからだ。
22年のU-17女子W杯では、パリ五輪で決めた30m弾以上と評しても大げさではないゴラッソを叩き込んでいる。“逆足”であるはずの左で、40mもの長距離シュートを決めたのだ。
「以前から両足で蹴れることが長所ではあったと思うんですけど、アカデミー時代から色々な指導者から〈もっと左足を蹴れるようになるべき。そこを伸ばしていくともっと面白くなるよ〉という風に言ってもらえたんです。だからさらに練習したんですが、あの舞台でその成果をうまく発揮できたかなと思いますね」
そんな谷川は高校時代、JFAの取り組みの中でバイエルン女子チームの練習に参加したことがあった。
「選手たちのプレーの上手さを肌で感じられましたし、日ごろから練習すれば自分のレベルアップにもつながるかなと思えました」
谷川がこう感じるとともに、クラブ側からはこんなリクエストが来た。
「もう一度、来てほしい」
つまりその時点でバイエルンは、谷川のポテンシャルを買っていたのだ。いくつかオファーがあった中で、名門からの誘いを断らない理由はなかった。
スウェーデンで“9戦連発”を決められたワケ
2024年、谷川はまず出場機会確保のため、スウェーデンのFCローゼンゴードというクラブへと期限付き移籍した。168センチと日本人女子フットボーラーの中で恵まれた体格を持つ谷川は、「日本に比べたら体の大きい選手が多いのですが、当たり負けすることはあんまりないかなと思っています」と、初の海外挑戦にもすぐ順応した。
それを雄弁に物語るのが、リーグ戦9試合連続ゴールだ。