桜井麻衣の決意「これからは“狂乱の貴婦人”として」

　大ゲンカをしながら、桜井が自我を見せるようになったのだ。ジュリアに対しても黙っていなかったからケンカになった。ジュリアにはそれが嬉しかった。

「本気で嫌われたと思ったけど、桜井がレスラーらしくなったなって。レスラーはスタッフとも観客とも世間とも闘っていかなきゃいけない。嫌われてなんぼなんだよ。私は桜井に嫌われて嬉しかった」

試合前にケンカをしたと明かしたジュリアだが、桜井の“自我”を称えた　©Essei Hara

　ジュリアと闘うことで、メインイベンターが背負うものの大きさをあらためて感じたと桜井は言う。無我夢中でやり合う中で掴んだものもあった。試合翌日、頭突きで腫らした顔のままで桜井は言った。

「何をやらかすか分からないのが自分の個性なのかなって。ジュリアとは性格が似てるけど違う部分もある。似てるのは“狂気性”みたいなところなんだろうなと試合して感じました。これからの私は……貴婦人は貴婦人だけど“狂乱の貴婦人”として上を目指したい」

　8月24日のタッグ王座防衛戦では、ジュリアから譲り受けたグロリアスドライバーで勝利。「できなさ」でジュリアを驚かせたDDMの劣等生がここまできた。もう誰も、桜井麻衣を“貴婦人キャラ”だとは思わない。