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渡辺勇大「よりを戻したいなと思ったのは…」東野有紗と“じつは離れていた時期”も越えて…ワタガシペアはいかに日本バド界の歴史を変えたのか 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2024/08/26 17:01

渡辺勇大「よりを戻したいなと思ったのは…」東野有紗と“じつは離れていた時期”も越えて…ワタガシペアはいかに日本バド界の歴史を変えたのか<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

パリ五輪では2大会連続の銅メダルを獲得、その後ペア解散を発表した渡辺勇大と東野有紗

五輪2大会連続メダルは「歴史に残る快挙」

 17年には数野&栗原組に加えて若い渡辺&東野がナショナルAに入り、練習から2組で打ち合い、切磋琢磨する環境ができた。18年1月にはマレーシア人のジェレミー・ガン氏が混合ダブルスの専任コーチに就任。それまで本能的にプレーしていた渡辺&東野は、それぞれの特長を活かした理論的な戦術を会得していき、みるみる結果を出していった。

 ターニングポイントとなったのは18年3月の全英オープン。100年以上の歴史がある伝統の大会で日本の混合ダブルス勢として初優勝を飾った。このタイトルがワタガシの軌道を太く確かなものとした。世界ランキングは全英オープン前の48位から大幅に上がり、同年夏の世界選手権に初出場。東野はこのように言う。

「自分たちの考えがすごく広がったのは2018年の全英オープンのおかげだと思っています。あの優勝がなければランキングが足りなくて(18年の)世界選手権に出られなかったかもしれないですから」

 18年に2人は目覚ましい成長を遂げ、同年11月には世界ランキング3位まで上がった。そこからは主要大会でつねに表彰台に絡む活躍を見せていき、1年遅れて開催された東京五輪では銅メダルを獲得し、「ワタガシ」の愛称で多くの人々に知られるようになった。パリ五輪では2大会連続銅メダル。その実績は日本バドミントン史に残る快挙だ。世界選手権でも21、22年に銀メダル、19年に銅メダルを獲得した。渡辺は遠藤大由と組んだ男子ダブルスでも東京五輪に出場した。

渡辺と東野、それぞれの今後は…

 今後については渡辺も東野もジャパンオープン開幕前の会見で言及しており、東野は「新しい挑戦として女子ダブルスで桜本絢子(ヨネックス)選手と組んで、28年ロサンゼルス五輪を目指してがんばっていきたい」と語っている。

 渡辺は混合ダブルスを継続し、9月7日から11日まで鳥取市で行われる全日本社会人選手権には世界ジュニア女子ダブルス優勝の田口真彩(ACT SAIKYO)と組んで出場する。ただし、「今後についてはまだ見通しが立っていないところがありまして、ここでお伝えすることが難しいのですが、選手としてプレーを続けていきたいと考えています」とも語っており、詳細が定まっていくにはもう少し時間がかかる模様だ。

 また、渡辺は「他の種目よりもまだまだ日本は混合ダブルスが劣っていると思っています。逆に言うと誰にでもチャンスがあるとも思っています」と謙虚なコメントもしている。2大会連続銅メダルの先に見据える新たな目標のひとつは、ワタガシとして築き上げてきた歴史をさらに塗り替えることなのだろう。

 バドミントンに懸けて中学時代から越境で福島に行き、希望の星として歩み、期待に応え続けたワタガシの名はこの先もずっとファンの胸に残っていく。2人の胸にも残っていく。そして、新たな夢の土台となっていく。

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