横浜でも同僚だった勇輝は、一緒にプレーするととてもやりやすいPGです。勇輝がペイントアタックして、魔法のようなパスを出し、僕はキャッチ＆シュートだけ。スピード、パスのタイミングがよく、それでいて自分で得点も決められます。日本バスケ界の基準で見てもサイズに恵まれているわけではないのに、Fearless（恐れ知らず）ですよね。メンタルが強く、そういうところも格好いいです。

パリ五輪では印象深い活躍を見せた河村勇輝　©︎Kaoru Watanabe/JMPA

　勇輝や富永に追いつくためにも、僕にとっては今はまず間近に迫ったハワイ大での2年目のシーズンで活躍することが大切になってきます。最も自信を持っているのはやはりシューターとしての能力。日本の中ではもちろん、僕はアメリカのカレッジの基準でも長身の“ストレッチ4”ですが、今後はそれに加えてペイントアタック、ボールハンドリングといった他の部分も鍛えなければいけません。

「これから君が塁や雄太のような存在になるんだ」

　身体を大きくすることも大切ですよね。今は体重100〜102キロくらいで、1年前の93、94キロくらいからかなり増えました。今年もウェイトトレーニングを積極的にやってもう少し体重を増やし、それでいてスピードもつけ、アタックできるようにしていきたいです。同時にチームとしても多くのゲームに勝ち、カンファレンス・トーナメントを優勝してNCAAトーナメントに出るのが目標になります。

　僕はこれまでずっとポール・ジョージが好きでした。サイズと身体能力があって、ハンドリング、シュート力、ペイントアタックとオールラウンドなジョージは格好いいと思い、映像を参考にしてきました。ジョージに限らず、八村塁さんとか、フランツ・ワグナー、ビクター・ウェンバンヤマとか、現代のバスケットボールでは身長があった上で何でもできる能力が求められています。僕もそうなっていきたいですし、実際にやれると思っています。ただ口で言うだけではなく、今シーズンは実際にプレーで示していきたいという意気込みです。カレッジでやることが日本代表やNBAでのプレーに間違いなくつながっていくので、しっかりやらなければいけません。

日本代表合宿の囲み会見で笑顔を見せるジェイコブス晶（2024年5月）　©︎YUTAKA/AFLO SPORT

「これから君が塁や雄太のような存在になるんだ」。実は日本代表のトレーニング中、合宿を訪れたレイ・アレンにそんなふうに言われたことがあったんです。その時は「そうなれたらいいな」という感じだったんですが、現実にしなければいけません。もちろんまだまだ先は長いですが、五輪を経て、より身近に感じられるようになったNBAに少しずつでも近づいていきたいです。

（全2回／前編から続く）