「黒虎脚殺」というキッドの十八番の足殺しが、体格差があっても使える技であることを確認した。

「技に磨きがかかってきている。マジでうれしい」

　キッドに敗れたジェイは「なんか試された気分」と悔しそうにヒザを押さえた。

「私は何色にでもなれる。ベビーでもヒールでも」

　昨年の『5★STAR GP』はケガもあって、キッドは完走できなかった。実際に戦って勝てたのは刀羅ひとりだけだった。

「もう負けは許されないけど、まずはブロック突破。AZMと決勝で戦いたい。AZMと『いつかビッグマッチのメインで』と言い続けてきたけど、5★STARの決勝もいいかな。AZMの調子もよさそうだしね」

『5★STAR GP』優勝という大きな夢を掲げている　©Essei Hara

　ブロック突破と控えめに言っておきながら、キッドは決勝戦を見据えている。

「何がいいって、今はプロレスが充実していることかな。ネオジェネシスができて、気持ち的な面が大きい。大江戸隊を追放されて宙ぶらりんだったけど……。去年があったから、今がある。大江戸隊にいたことは決して無駄じゃない。人気も上がったし。でも焦りは禁物。色は関係ない。今は夜空に舞う青い虎ですけど、私は何色にでもなれるから。黒虎というベースは変わらない。ベビー（フェイス）でもヒールでも、いいとこだけとって併せ持っている。ラフファイトだってできる。今まで届かなかったベルトもこうして巻くことができた」

「今は青い虎ですけど、私は何色にでもなれる。ベビーでもヒールでも」　©Essei Hara

　現在、キッドはスパーク女子世界王座をアメリカから持ち帰っている。

　5★STARの先にはワンダー・オブ・スターダム王座（白いベルト）が待っている。2月4日に安納サオリに挑戦した時は届かなかったが、「今度こそは」という思いがある。

　キッドは「ワンダー・オブ・スターダムが目標」とはっきり口にした。

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