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“甲子園の魔物”説も…「うわぁぁって…人生で初めて見た」大社ベンチも驚いた早稲田実の奇策「あの9回裏直前にハプニングがあった」現地記者が見たウラ側

posted2024/08/18 17:05

 
“甲子園の魔物”説も…「うわぁぁって…人生で初めて見た」大社ベンチも驚いた早稲田実の奇策「あの9回裏直前にハプニングがあった」現地記者が見たウラ側<Number Web> photograph by JIJI PRESS

タイブレークの延長11回裏。サヨナラ打を放った大社エースの馬庭優太

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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早稲田実業にサヨナラ勝ち。まさかの番狂わせを起こした大社高校。32年ぶりに甲子園に出場した公立高はなぜ勝てるのか?  前日練習から密着した記者が、現地甲子園で見たハプニングとは。【全2回の後編/前編も公開中】

◆◆◆

 その日、大社は異様な空気をまとっていた。

 試合開始直後の1回表。大社のエース馬庭優太は、2人目のバッターに早稲田実業の好打者、宇野真仁朗を迎える。宇野が3球目を空振りした瞬間だった。これで三振でもないのに、三塁側アルプスを中心に歓声が上がる。試合終盤の決定機でもなければ、決勝戦でもない。大会11日目、3回戦のうちの1つである。

 大社の不気味さは、全国大会の初戦で敗れた報徳学園の監督、大角健二が残した「予想以上に強い」という言葉に集約される。

 野球部員は地元の中学軟式野球部出身が大勢を占める。「ボーイズリーグで全国優勝」のような華やかな経歴を持つ選手が多い強豪と比べれば、無名の選手たちと言っていいだろう。それでも、勝つ。

 大社はなぜ強いのか。その謎は、前日の練習取材で解決されるどころか、深まった。「やっぱり代打で立つと緊張した?」「2勝で十分です」。監督や選手の言葉を聞けば、およそ全国的な強豪を倒しているチームとは思えない。言い換えれば、“強豪然”とした雰囲気がまるでない。早稲田実戦でもそうだった。

あの9回裏「直前にハプニングがあった」

 3回裏、大社が攻撃に備えてベンチ前で監督が指示を出している。甲子園でおなじみの光景だ。10人ほどの選手が監督のもとに集まっているが、どこかチグハグな印象を受ける。理由は帽子だ。

【次ページ】 あの9回裏「直前にハプニングがあった」

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