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「このままじゃ終わるな…」DeNA京山将弥26歳を、“イップスで一軍登板ゼロ”の崖っぷちから「想像もできなかった成績」に蘇らせた言葉 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph bySankei Shimbun

posted2024/08/12 11:01

「このままじゃ終わるな…」DeNA京山将弥26歳を、“イップスで一軍登板ゼロ”の崖っぷちから「想像もできなかった成績」に蘇らせた言葉<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

台所事情の苦しいDeNAブルペン陣にあって、さまざまな役割で奮闘する京山

苦境のチームのために

 さてチームは現在、首位戦線から後れをとり苦しい状況にあるが、京山自身どのような思いを胸にマウンドに立とうと考えているのか。

「とにかく自分が投げるときは、そのイニングをゼロにすること。それが結果的にチームの勝利につながると思うので、しっかりと自分の仕事を全うしたいですね。決して攻める気持ちを忘れることなくやっていきたい」

 青い炎が目に宿る。デビュー以来こだわってきた先発という立場ではないが、チームに必要とされ投げられることが今の京山にとっては重要なことなのは言うまでもない。

 ルーキー時代からクールで口数の少なかった京山も今年で8年目になる。26歳となり、人当たりも良くなって内なる思いを自分の言葉で素直に話す姿を見ると、時の流れを感じられる。

「まあ、いろんな人と関わることも多くなりましたし、後輩も増えてきたんで、そういうところは成長したかもしれませんね」

 そう言うと、京山は笑った。

 京山といえばベイスターズに縁のある1998年世代。同学年には牧秀悟や山本祐大ら、チームを牽引する選手たちがいる。彼らの存在は言うまでもなく後押しになっているわけだが、一番の刺激になっている選手として京山は、中日の細川成也の名前を挙げた。

「ホソ(細川)とは仲がいいんですよね」

細川に負けていられない

 表情をゆるめ京山は言った。両者は、ドラフトの高卒同期。細川が一昨年の現役ドラフトを経てDeNAを離れるまで、身近な存在として苦楽をともにしてきた間柄だ。中日に行った細川はその才能を開花させ、現在は個人タイトルを争うまでに成長している。

「本当にホソは頑張っているんで、ものすごい刺激になっているんですよ。いやもう、負けてらんないッスね」

 どこか楽しそうに京山は言った。

 ゾーン内で勝負するスタイルにチェンジした京山と、フルスイングが魅力の細川との真っ向勝負。今季は一度だけ対戦し、四球という結果だったが、想いと時間が錯綜する両者の対戦を今後も楽しみにしたい。塗炭の苦しみを味わってきた京山の真の巻き返しはこれからだ。


 

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