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卓球女子団体「4人でメダルかけて写真を」16歳張本美和を支えた早田ひなと平野美宇の24歳コンビが秘める、リザーブ木原美悠20歳への思い
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/08/10 11:03
パリ五輪卓球女子団体、準決勝後の日本チーム。左から早田、平野、張本
「人の気持ちを考えて行動する難しさを、私は東京オリンピックで経験しました。メダルを獲得していく仲間の練習相手、球拾い、応援、できることは何でもやりました。その心中は痛いほど分かっています」(早田)
早田が腕を痛めたとき、木原に交代したほうがよいのではないか、との声も一部にあった。女子日本代表の渡辺武弘監督も「少しよぎりました」という。早田の意志を尊重し、体制はかわらなかったが、木原も心中「もしかしたら」と思うことがまったくなかったわけではないかもしれない。言うまでもなく、木原もこの大舞台をずっと目指してきたのだから。
自らもリザーブの立場を知るからこそ
でも、懸命にサポートを続けた。早田を支え、チームを支えた。リオデジャネイロ五輪の平野が、東京五輪の早田がそうであったように。平野も早田も、リザーブという立場を経験し、チームにとって何が大切かを肌身で知っている。それを木原が受け継いでいる。だから早田はシングルスのあとも、団体でも、木原にメダルをかけたいと語った。
張本をあたたかく励ます早田と平野、木原の姿勢、それに感謝する早田……。それらに卓球女子日本代表チームの雰囲気が表れている。代表争いを長時間かけて行い、代表が決まったあとは国内外の合宿なども経て結束してきてパリがある。
8月10日の決勝では中国と対戦する。2月の世界選手権団体戦では2勝3敗と、今までにないところまで競り合った。
当然、中国も対策は入念に施してくるだろう。早田の回復具合もかかわってくる。
それでも自分たちの力を信じ、立ち向かう。
「信頼感はどこのチームにも負けてないと思います。そこは日本の強さかなと思っています」(平野)