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号泣の張本美和16歳に“8つ上のお姉さん”早田ひなが近づいて…女子卓球“まるで3姉妹”どんな関係? 元代表監督が語る「メダル確定」現地ウラ側
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byJMPA
posted2024/08/10 06:00
卓球の女子団体でメダルを確定させた瞬間、涙を流した張本美和16歳
村上 日本代表が誰になるかという争いのなかで、2年間くらいずっと切磋琢磨してきたメンバーですからね。早田と平野は同い年ですし、平野と張本も木下(アビエル神奈川)でチームメイト。みんな気心の知れた仲ですから、なにも心配いらないと思いますよ。それに彼女たちは、試合に向き合う姿勢がすばらしい。構えたときの集中力、点を取ったときの気合、試合中の態度も。卓球の競技人口は日本に約100万人いると言われていますが、あらためて模範になる選手たちだと感じました。
――卓球の団体戦において、試合中の監督の役割というのはどんなところにあるのでしょうか。
村上 卓球というのは得点と失点の積み重ね、勝ったり負けたりを繰り返す競技です。じつは勝っているときって、監督はあまりやることがない。負けているとき、ポイントを取られているときにどういった声かけをするか。その選手によってかける言葉も違います。たとえば早田の場合、自分から試合の流れを分析して、言葉にするタイプ。監督としてはその考えを肯定して、背中を押してあげる感じですね。渡辺武弘監督もうまくマネジメントされていると思います。
絶好調の平野美宇「いままでで一番強い」
――準決勝のシングルスでは、平野選手もすばらしいプレーでストレート勝ちを収めました。ダブルスも含めて、チームの支えになっていますね。
村上 長いこと平野を見ていますが、この団体戦での集中力、仕上がりは最高ですね。「いままでで一番強い平野美宇」だと思います。とにかくチャンスボールをミスしない。ここぞという場面のフォアハンドで、ほぼ確実に得点している。調子が悪いときはフォアハンドのミスが多かったんですが、それがまったくありません。本当に過去最高ですよ。
――この五輪に関しては、長く代表を支えてきた伊藤美誠選手の不在もポイントになっているように感じます。そのあたりはどうご覧になっていますか?
村上 いままでの団体でも、過去を遡れば世界選手権で福原愛がいなかったり、アジア選手権で石川佳純がケガをして離脱したりと、大黒柱を欠くことはありました。ただ、チームジャパンは誰かがいなくてもしっかりと力を発揮できるだけのものを積み上げてきました。伊藤美誠は戦術のアドバイスがすごくうまいので不在の影響はあるかもしれませんが、それでもいまのメンバーが力を発揮して決勝に進んだことは称えられるべきだと思います。