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「あの一発でこんなに…」なでしこ谷川萌々子の“五輪30m弾”だけでない衝撃…熊谷紗希が「相手にモモコはいないから大丈夫!」声かけした日
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2024/08/13 06:00
パリ五輪で一躍、知名度を上げた谷川萌々子。なでしこジャパンの未来を担う超新星には“逸話”がすでに数々ある
「自分も(映像を)見たんですけど、“もう少し落ち着いたら?”と思いましたね」
こう笑みを浮かべるとともに、「あれほどのたくさんの観客が入った中でプレーできるという喜びは、本当に大きかったです」と、19歳らしい等身大の言葉を残した。
17歳時、スペイン相手に決めた“左足40m弾”
そんな谷川はいったいどんな人物なのか――実はパリの大舞台に立つまでの歩みでも、その才能はすでに煌めいていた。
幼少期、育成年代から将来を期待される存在だった。15歳の2021年にU-16日本女子代表候補に選出されると、翌年のU-17女子ワールドカップでは背番号14を背負い、戦った全4試合で先発出場した。
世界の舞台で谷川の長距離砲が火を噴いたのは、この大会からだった。
初戦のタンザニア戦で相手GKの意表を突く直接FKを右足で決めると、準々決勝のスペイン戦ではゴールまで約40mという位置から左足で力強いシュートを放ち、これがゴール右上に吸い込まれた。
谷川は大会前から自身の特長をこう語っていた。
「左右差のないキック、展開力やシュートです」
有言実行の4得点でシルバーブーツ(大会得点ランキング2位)を獲得。先のブラジル戦でのゴールは、オリンピックという多くの国民が注目する大会で挙げた初ゴールではあったが、関係者の中ではそのキック力はかなり前から認識されていたのだ。
トレーニングパートナーだった女子W杯でも逸話が
育成年代で頭角を現した谷川だが、彼女にとってひとつの転機となったのは、2023年の女子W杯にトレーニングパートナーとして同行したことだろう。
JFAアカデミー福島の同級生である古賀塔子とともに、日本国内でのトレーニングキャンプ、そして大会開催地であるニュージーランドで、なでしこジャパンの選手たちと1カ月以上にわたって過ごした。
その日々は彼女に大きな刺激を与えたようで、大会中にはこのように話した。
「色々な選手から色々なことを学んで日々を過ごしています」
例えば、全体練習後の自主トレーニングでのこと。フリーキックの練習にいそしむ猶本光の横に並んで一緒にボールを蹴り合った。