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「幼少期に離婚…最高の父親ではなかった」ピンク髪のロッドマン(22歳)が”異端児”と呼ばれた父から教わったこと〈なでしこ撃破→メダル確定〉
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by L:AP/AFLO、R:Getty Images
posted2024/08/07 11:18
なでしこジャパンから決勝ゴールを奪ったアメリカ代表トリニティ・ロッドマン。父はあのNBAのスター選手だ
その知名度は海を越え、日本でもビッグネームになった。奇抜なヘアスタイルと行動からか、「名作漫画“スラムダンク”の主人公、桜木花道のモデルはロッドマンだった」という噂まで流れたほど。最盛期にはブルズで一緒にプレーしたマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペンにも勝るとも劣らないと思えるほどの知名度を手にし、異色のスターは時代の風雲児にもなった。
時は流れ、それほどの名物アスリートの娘が五輪サッカーのスターになった。一見すると、まるでハリウッド映画のような劇的ストーリー。今回のトリニティの劇的ゴールが、アメリカ国内でも大きく騒がれたのは当然だったのだろう。ただ……常にすべての物語が完璧なわけではない。女子サッカーに詳しい人ならご存知の通り、トリニティと父の関係は良好とはいえないのだという。
最高の父親ではなかった
18歳の時にナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL)から指名された史上最年少選手になったトリニティは、以降もスター街道を歩んでいる。2022年には代表デビューも果たし、今回の五輪でもすでに3ゴール。そんな快進撃を続けて来た娘にとって、NBA史に残る異端児は最高の父親ではなかった。
幼少期に両親は離婚。以降も父はトリニティを含む家族とは疎遠なまま。ともすればトップアスリートとしてのメンタルを分かち合えそうなデニスだが、トリニティの快進撃を支える存在であったことはない。2021年11月、父が突然、NWSLのゲームを観戦に来た後、トリニティは「最高の関係ではない彼と私が脚光を浴びるのは辛いことでもありました」と自身のインスタグラム上で明かしている。
その人生に父デニスの影はほとんどなく、サッカー選手としてのキャリアを支えて来たのは母親であったことも盛んに語られている。