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「幼少期に離婚…最高の父親ではなかった」ピンク髪のロッドマン(22歳)が”異端児”と呼ばれた父から教わったこと〈なでしこ撃破→メダル確定〉
posted2024/08/07 11:18
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
L:AP/AFLO、R:Getty Images
“ロッドマン”という名前が久々に世界的な話題になった。0-0のまま延長にもつれ込んだ8月3日のパリ五輪女子サッカー準々決勝で、アメリカ代表のトリニティ・ロッドマンが決勝ゴールをゲット。勝てば銀メダルを獲得した2012年ロンドン五輪以来の4強入りだったなでしこジャパンの夢を阻んだ一撃は、後世まで語り継がれるであろうビューティフルゴールでもあった。
その殊勲弾を決めたのが元NBAのスーパースター、デニス・ロッドマンの実娘だったこともあって、余計に大きなニュースになったのだった。
「素晴らしかったし、シュールに感じられたくらいでした。決まった後の私の表情を見れば、ショックを受けていたことがわかったでしょう。自分のシュートを疑っていたわけではありません。それだけストレスがかかる場面だったということです」
アメリカ女子代表の公式SNSに投稿されたインタビューでのトリニティのそんな言葉は、3大会ぶりの金メダルを狙う優勝候補にとってのこのゴールの意味を物語る。
このままアメリカが勝ち続けた場合、ゴールネットを揺らした直後のトリニティの夢見心地の表情は象徴的なシーンとして語られ続けるのだろう。この22歳のストライカーの活躍のあと、日本の多くのバスケットボールファンはその父の現役時代の勇姿に久しぶりに想いを馳せたのではないか。
父はNBA史に残る“異端児”
トリニティの父、デニス・ロッドマンは1980〜90年代のNBAで大活躍したディフェンダー&リバウンダー。1992〜98年の7シーズン連続でリバウンド王になり、1990〜91年には最優秀守備選手に選ばれるなど、ゴール周辺で圧倒的な存在感を誇った。優れた個人成績を残すだけではなく、ピストンズ時代に2度、ブルズ時代に3度のNBAファイナル制覇に大きく貢献したことは見逃せない。
ブルズ時代の勇姿は2020年に公開されたドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』でも描写されたため、現代のNBAファンの記憶にも鮮明ではないか。2021年にNBAが発表した“史上最も偉大な75人”に選出されたことが示す通り、間違いなくリーグの歴史に残る名プレイヤーだった。
選手としての功績と同等に、いや、もしかしたらそれ以上にロッドマンの存在感を際立たせたのは、そのファッション性の高さとコート外で引き起こした様々な騒動だった。
髪の色を頻繁に変え、ピアス、全身タトゥー、女装癖などを隠すことはなく、少々奇妙なファッションリーダーになった。度々暴言を吐き、言いたい放題の自伝(『ワルがなるままに』という邦題で日本でも出版された)を発売するなど、“危険人物”という印象も濃厚だった。自著のリリース記念のイベントにウェディングドレスを着て現れたという象徴的なエピソードも有名だろう。