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「怪しすぎ…」「出来レースっぽい」柔道“疑惑のルーレット”…なぜ日本人に不信感を抱かせた?「ボタンを押したのは私達じゃない」フランス柔道トップは主張
posted2024/08/06 19:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
柔道混合団体。3勝3敗になった瞬間、嫌な予感がした。
この種目は東京オリンピックから採用され、3勝3敗になったときは、電子ルーレットによる「抽選」で代表戦で畳に上がる選手が決まる。
会場に映し出されるクルクル回るルーレット。なんだか怪しい。いかにも怪しい。
私は大学生の次男と一緒にテレビを見ていたが、お互い、「これ、リネールになるんじゃないの?」と笑いながら、それでも半分本気で心配しながらクルクルを見ていた。
そのうち回転は速度を落とし……「+90kg」で止まった。
やりやがったな。
深夜2時前の日本、47都道府県のみなさんは、そう思ったのではないか?
柔道の混合団体は、男女3人ずつの6人によって行われるが、世界選手権では2017年のブダペスト大会からこの制度が導入された。
当初から、私はこの「6人」という制度が気に入らなかった。男女の数をイコールにするという原則があったのだろうが、そもそも柔道の団体戦は5人、あるいは7人の奇数で対戦して欲しい。ひとりが2度戦う可能性を残すのではなく、3人先勝または4人先勝が分かりやすい――と思うのは、私が日本で柔道を見てきたからだろうか。
やっぱり「ジャンケン」がいい?
さて、電子ルーレットだ。
この電子ルーレットはスポーツの大原則である「公平性の担保」がなされているかどうか、極めて怪しいように見える。