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DeNAオースティンが丈夫なら「ジャッジとW主砲、大谷翔平とタイトル争い」だったかも…“ケガしすぎ”でも東京五輪・日本球界で輝く味わい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki,Kiichi Matsumoto

posted2024/08/06 11:04

DeNAオースティンが丈夫なら「ジャッジとW主砲、大谷翔平とタイトル争い」だったかも…“ケガしすぎ”でも東京五輪・日本球界で輝く味わい<Number Web> photograph by Nanae Suzuki,Kiichi Matsumoto

DeNAのタイラー・オースティンはヤンキース時代、アーロン・ジャッジとともに将来を嘱望された

 チームはジャッジとオースティン、さらには前年デビューの強打の捕手、ゲーリー・サンチェスを含め「ベビー・ボンバーズ」と名付け、売り出した。

 メジャーデビュー年の2016年、オースティンは83打数20安打5本塁打12打点、打率.241、ジャッジは84打数15安打4本塁打10打点、打率.179。選球眼抜群で右打者ながら、右方向に鋭い打球を飛ばすオースティンと2メートルを超す巨躯で引っ張りまくるジャッジは、ともに近い将来、ヤンキースの中軸を担うと思われたのだが……。

“ケガがち”オースティンの評価が高かったワケ

 翌2017年、オースティンは引退したマーク・タシェアラの後釜の一塁手として活躍が期待されたが、スプリングトレーニングで左足を骨折し、6週間の欠場を余儀なくされる。ヤンキースはこの間に一塁手を補強、オースティンは正一塁手になる機会を逸する。一方で、ライバルのアーロン・ジャッジはこの年、驚異の52本塁打を記録し新人王。スーパースターの道を駆け上がる。

 オースティンは、翌2018年も控え一塁手。4月の試合でのラフプレーによって出場停止処分となる。その後マイナー落ちし、7月30日のトレード期限でツインズに移籍した。その後、ジャイアンツ、ブリュワーズと移籍を繰り返したが、レギュラーになることはかなわず、2019年に40人枠を外れ、11月にDeNAと契約を結んだのだ。

 MLBではレギュラーになることができなかったオースティンだが、その評価は常に高かった。

 今のMLBでは打者の打球速度を示す「スタットキャスト」の数値が重要視されるが、オースティンは初速スピードでは600人以上いるMLB打者の中で毎年、40位以内に入っていた。

 特筆すべきはバレル(本塁打になりやすい打球角度)で打球を打つ比率であるBrls/PA%で、オースティンは2017年は全体16位の8.7%、2018年は17位で9.0%。この年メジャーデビューした大谷翔平は8位の9.8%だったが、オースティンはトップレベルの数字を出し続けた。ポテンシャルがある打者との評価がありながら、オースティンは故障や不運が重なってMLBを放出され、NPBにやってきたのだ。

 しかしNPBでもオースティンは不運に見舞われ続ける。

 2020年は右ひじの故障で開幕から欠場、2021年は大いに打棒を振るうが、10月に左脹脛肉離れで戦線離脱。2022年は右肘のクリーニング手術を受け代打専門となり9月に新型コロナ陽性。2023年はヘッドスライディングをして右肩鎖関節の捻挫して手術。

 古い言い方で言えば、まさに「ケガ・故障のデパート」。不運に加えて、ハッスルプレーが過ぎてケガ、故障をすることが多かったのだ。

東京五輪で2本塁打、OPS1.254という凄まじさ

 しかし、日本プロ野球界は、2021年に行われた東京オリンピックで、オースティンが「ただならぬ強打者」であることを再認識することになる。

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