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DeNAオースティンが丈夫なら「ジャッジとW主砲、大谷翔平とタイトル争い」だったかも…“ケガしすぎ”でも東京五輪・日本球界で輝く味わい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki,Kiichi Matsumoto

posted2024/08/06 11:04

DeNAオースティンが丈夫なら「ジャッジとW主砲、大谷翔平とタイトル争い」だったかも…“ケガしすぎ”でも東京五輪・日本球界で輝く味わい<Number Web> photograph by Nanae Suzuki,Kiichi Matsumoto

DeNAのタイラー・オースティンはヤンキース時代、アーロン・ジャッジとともに将来を嘱望された

 現役のメジャーリーガーは派遣しないMLBの方針によって、アメリカ代表はマイナーリーガーとNPBなど他国でプレーする選手によって編成された。オースティンはソフトバンクのニック・マルティネス、ヤクルトのスコット・マクガフとともにアメリカ代表となる。

 そしてDHで2番、3番を打ち6試合24打数10安打2本塁打7打点、打率.417、OPS1.254という、凄まじい成績を挙げたのだ。

 敵に回してみて、あらためてオースティンのすごさに気が付いた、というところではないか。

今季も何度かケガをしているが出さえすれば…

 2024年はコンディションが整い、開幕から2番一塁で出場したが、4月10日の中日戦で二塁にヘッドスライディングした際に右太ももを痛めて登録抹消された。

 5月17日に復帰してからは好調を維持していたが、7月24日、出場辞退した筒香嘉智の代役で初出場したオールスター第2戦で、オースティンは一塁守備中に楽天・辰己涼介の打球を顔面に受けて倒れこんだ。

 筆者は三塁側で観戦していたが、一塁ベース横でオースティンが崩れ落ちると「またか」と思った。オースティンは「右下顎の打撲」と脳しんとう特例措置で登録抹消となった。

 またしても、「ここぞ」というときにケガやアクシデントに見舞われてしまうのか――と思われたところ、今回は短期間で復活、8月3日の試合で大竹耕太郎から2本塁打して阪神を粉砕した。

 オースティンの8月5日時点での成績は、61試合出場で231打数70安打、17本塁打41打点、打率.303。OPSも1.002と規定打席未達ながら高水準。本塁打王争いでも1位の村上宗隆と3本差につけている。

 ケガや故障をせずに、試合に出続けていたらオースティンはNPBでバレンティンやマートン級の活躍をしたかもしれない。いや、それ以前にMLBでアーロン・ジャッジや大谷翔平と打撃タイトル争いをしていたかもしれない。

 そう思うとオースティンの打席は、ひときわ味わい深いものになる。

週間記録セ:サンタナ離脱で「3割打者なし」の可能性が

【2024年7月26日~8月4日 週間成績】
〈セ・リーグ〉
・今季成績
 広 島93試50勝39敗4分 率.562 差--
 巨 人98試51勝42敗5分 率.548 差1
 阪 神99試51勝43敗5分 率.543 差1.5
 DeNA97試46勝50敗1分 率.479 差7.5
 中 日99試41勝52敗6分 率.441 差11
 ヤクルト96試39勝53敗4分 率.424 差12.5

・16週目の成績
 阪 神9試8勝1敗0分 率.889
 広 島9試7勝2敗0分 率.778
 巨 人9試5勝4敗0分 率.556
 ヤクルト9試3勝6敗0分 率.333
 中 日9試3勝6敗0分 率.333
 DeNA9試1勝8敗0分 率.111

 オールスター明けの9日間、阪神、広島が走り、DeNAが不振。3強3弱の勢力図が少しずつ見えてきた。

〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標、RC=Runs Created順
 森下翔太(神)34打17安3本13点 率.500 RC12.93
 佐藤輝明(神)39打20安3本11点 率.513 RC12.68
 坂倉将吾(広)33打14安1本5点 率.424 RC8.31
 近本光司(神)37打14安3盗 率.378 RC7.82
 福永裕基(中)35打15安3点 率.429 RC7.07

 森下、佐藤、近本と阪神勢が打撃好調。本塁打は森下、佐藤の3、打点は10試合連続打点の森下の13、盗塁は近本の3が最多。なお8月4日時点でヤクルトのサンタナが規定打席を外れたので、首位打者は巨人・丸佳浩の.297。82年ぶりに「3割打者なし」になる可能性が出てきた。

【次ページ】 週間記録パ:1カ月前まで打率1割台だった清宮が…

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