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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「そんな裏事情が!」なでしこ谷川萌々子“体調不良で欠場”に落胆も…ブラジル人記者が絶賛「低迷を脱した」「米国に臆さず惜しかったよ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/08/06 19:06
アメリカ戦、体調不良の影響で谷川萌々子はベンチ外になったものの、ブラジル人記者はなでしこジャパンの戦いぶりを絶賛した
「僕もそう思った。池田太監督は『アメリカの実力を考えると、延長、PK戦による決着でもいい』という考え方だったのだろう」
――実際、帰国後に取材を受けた長谷川唯は「あの戦い方をしようと入りました」と、チームの中で意思統一ができていたようです。男子のW杯で言えばクロアチアなどが取る戦法でしょうか?
「そういうことだね」
――90分間を終えて、0-0のまま延長に突入。アメリカ選手はさらに疲労の色が濃くなり、なでしこに勝てるチャンスが高まったと思ったところで、中盤から右前方へロングパス。ロッドマンが受け、ドリブルで北川をかわしてカットインすると、左足で強烈に叩き込んだ。
「それまでずっと、なでしこのゲームプラン通りに進んでいたんだけど、ロッドマンの個人技にやられてしまった。彼女を褒めるしかない」
タニカワがベンチにいれば…米国を倒す好機だった
――とはいえ、なでしこも120分間、アメリカの守備陣を崩せなかった。
「池田監督は後半に浜野まいか、そして宮澤ひなたを投入したが、アメリカの最終ラインは強固だった。とりわけCBナオミ・ガーマが、なでしこのチャンスの多くを潰した。もう一人のCBエミリー・ソネットは時折ミスを犯していただけに、もっと彼女を狙い撃ちしてもよかったんじゃないかな」
――なでしこは、谷川の不在が痛かった。
「後半途中、遅くとも延長に入ったところが、本来なら谷川の出番だった。彼女がベストコンディションでプレーできていたら、なでしこが勝っていた可能性は十分にあった」
――ただ、アメリカもかつてのような圧倒的な強さは感じられなかった。
「今年5月に就任したイギリス人のエマ・ヘイズ監督が、チームを再建しつつある。ただ、中2日の試合が続く過密日程なのになぜかローテーションをせず、試合が進めば進むほど選手に疲労の色が濃くなっていた。それに、このチームは3トップの個人能力は非常に高いけれど、中盤の構成力はやや物足りなかった。それだけに、なでしこにとってはアメリカを倒す絶好のチャンスだった。臆することなく相手を苦しめていただけに、本当に惜しかった」
男子がスペインに勝つよりも…よく頑張ったと思うよ
――ともあれ、優勝候補アメリカを大いに苦しめました。今後につながる試合だったと考えていいでしょうか?