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「石川祐希に悲壮感は一切なかった」男子バレー現地記者が見た、“重苦しい空気”を変えたキャプテンの言葉「自分たちのために戦う」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2024/07/28 17:00
黒星スタートとなったパリ五輪。石川祐希はキャプテンとして52年ぶりのメダルに導けるか
思い起こせば、昨年のOQTでも、選手たちは独特の雰囲気にのまれ、エジプト戦ではまさかの敗戦を喫した。五輪切符獲得へ暗雲が垂れ込める事態に陥ったが、絶対に負けられない崖っぷちの戦いに連勝し、最終的にパリ五輪の切符を掴んだ。
「まずもったいないミスをなくし、取り切れるところでしっかりと点数を取ることが大事だし、それができていれば問題はないと思っている」とやるべきことは明確だ。
アルゼンチン戦まで4日。修正力に長ける彼らがどこまで対応してくるのかが見ものだ。
「このチームでどれだけいい成績を残せるか。このチームで金メダルを取れるかがすべてだと思う」
フィリップ・ブランがコーチとして招聘された2017年から積み重ねてきた8年間の集大成の戦い。どんな結果であれ、悔いのないようにすべてを出し切る。そう覚悟して決戦の舞台に挑んでいる。
「もちろん立て直します。ここから上がっていくしかないと思ってますし、これで終わるようなメンバーではないので。この後、またいいパフォーマンスをみなさんにお見せできるように。自分たちのために戦っていきたいと思います」
俺たちはこんなもんじゃない。
経験に裏付けられた自信があるからこそ、彼はこの先も強い気持ちで闘いに挑む。信頼する仲間たちとともに。目標は決してブレていない。