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「古賀紗理那、石川真佑はよく決めていたが…」Vリーグ優勝監督が見た女子バレー“勝負の分かれ目” 次戦ブラジル「古賀vsガビ対決だけじゃない」

posted2024/07/29 11:07

 
「古賀紗理那、石川真佑はよく決めていたが…」Vリーグ優勝監督が見た女子バレー“勝負の分かれ目” 次戦ブラジル「古賀vsガビ対決だけじゃない」<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

オリンピック初戦でも存在感を発揮した古賀紗理那(28歳)。次戦ブラジル戦はガビとのエース対決に注目が集まる

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金子隆行

金子隆行Takayuki Kaneko

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Kaoru Watanabe/JMPA

パリ五輪・予選リーグ初戦でポーランドにセットカウント1対3で敗れたバレーボール女子日本代表。昨シーズン、古賀紗理那らが所属するNECレッドロケッツ川崎をVリーグ優勝に導いた金子隆行監督(39歳)に戦いを振り返ってもらった。強豪ブラジル戦に向けたポイントも訊いた。〈NumberWebパリ五輪短期連載〉

 歯がゆいゲームでしたね……。日本もポーランドも調子がいいわけではなく、試合序盤から連続得点や連続失点を繰り返した。常に波が行き来するゲームでした。

 僕が勝負を分けたと思うポイントは第4セットの終盤です。

 古賀紗理那選手が連続して得点を奪い、さらに相手オポジットのスパイクもブロック。自チーム(NECレッドロケッツ川崎)の選手だから褒めるわけでなく、完全に勢いに乗っていたし、彼女の覚悟が伝わるシーンでした。

 ようやく日本が25対24と1点をリードした場面、日本は先ほど止めたオポジットの選手に対して2枚ブロックをつけ、相手の攻撃はレフトへ。「必ずここに来る」と、そのコースにはリベロの福留慧美選手が待ち構え、完璧にレシーブしました。

 本来ならばセッターが2本目を上げるのですが、間に合わず、そのボールを誰が上げるのか選手間で一瞬見合ったことで判断が遅れた。結果的にアウトサイドヒッターの和田由紀子選手がアンダーハンドでレフト側の古賀選手にトスを上げたのですが、このトスが乱れてしまった。何とか返そうとした古賀選手のスパイクがアンテナに当たり、25対25と同点に追いつかれてしまいました。

世界に勝つために掲げてきたこと

 タラレバを承知で言うと、あの1点を取り切れていたら結果は変わっていたと思います。勢いに乗ってきた古賀選手にそのままボールを集めれば、最終セットも日本が押し切っていたかもしれない。

 もちろん、1つのミスを責める気はありません。強打をレシーブしたボールをつなぐのは簡単ではないからです。でも日本が世界で勝つために掲げてきたのは、ミスをせず、一つ一つのプレーの精度を高くすること。

 サーブレシーブはもちろん、相手が苦し紛れに返してきた時の1本目のレシーブや、セッター以外の選手が上げる場合の2本目のトスの精度は特に重視してきたことです。大事な場面だからこそプレッシャーもかかりますが、だからこそ丁寧にしたかった。悔やまれるプレーになりました。

【次ページ】 なぜ2セット目以降を取り切れなかったのか?

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