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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「泣いてんじゃねえ!ってビンタしたけど…」WWEから帰還したSareeeが日本で目指す“プロレス”とは?「ライバルはいればいるほど面白い」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byL)Norihiro Hashimoto、R)Takuya Sugiyama
posted2024/07/28 17:10
スターダム、マリーゴールドなどさまざまな団体に参戦し存在感を放っているSareee
表現したいのは「気持ちのぶつかり合い」
Sareeeは自分がやりたい日本独自のプロレスを“闘いのあるプロレス”、“強さのあるプロレス”といった言葉で表現する。試合なのだから闘いなのは当然だし、強さを競っているのも当たり前のことだ。だからなかなかうまく伝わらないのだが、Sareeeが表現したいのは技の巧拙やエンタメの否定ではなく「気持ちのぶつかり合い」だ。
「気持ちと気持ちでぶつかり合える選手との試合は燃えるし“プロレスやってるな”という感じがします。やっぱり気持ちに嘘やごまかしがあると、相手にもお客さんにも伝わってしまう。
たとえばエルボーの打ち合いでも、途中で気持ちが折れてしまう選手がいるんです。表面上は試合が続いていても“あ、こいつ終わったな”という瞬間がある。若手だったら仕方ないですけど、そういう選手とはやってても楽しくないですよね」
逆に橋本千紘は「どこからどう見ても強い」選手だとSareee。試合は必然的に「橋本に立ち向かうSareee」という構図になっていく。
「大きくて頑丈な相手には強いエルボーを打たなきゃいけない。そのためにも相手に向かっていく気持ちの強さが必要です。気持ちがこもっていないと強い技は出せないので。それに、気持ちの部分で負けたと思ったことは今までないんですよ。相手が橋本だろうが誰だろうが、パワーでは負けても気持ちで負けたことはないです」
橋本には今年1月、自主興行で再戦しリベンジを果たした。昨年は準備期間と捉え直し「今年からが勝負」と位置付けている。
「泣いてんじゃねえ!ってビンタしましたけど」
参戦団体、試合数も増えた。試合をすることでどんどん調子が上がっているそうだ。4月の岩谷戦は惜敗だったが、5月には新団体マリーゴールドに参戦。旗揚げ戦のメインでジュリアに勝つと、フリーながら自分がエースだとアピールした。そして7月には初代“真紅の王者”に。7.20新木場1stRING大会では青野未来、翔月なつみとマリーゴールド初代王者トリオを結成、リング中央に陣取った。
「ジュリアにしても岩谷にしても、日本に戻った時からやりたいと言ってきた選手。それを実現させる舞台がスターダムだからとかマリーゴールドだからとかは、正直あまり考えてないですね。私としてはやりたい相手とできればいい。
ただその結果、自然に“女子プロレス界をかき回してる”みたいな存在になれてるのなら面白いですよね。ラッキーというか、私は何か持ってるなって」
両国でのジュリアとのタイトルマッチ、Sareeeのフィニッシュは「フィンガーブリーカー」と記録されている。直前まで欠場していたジュリア、その負傷箇所を狙ったのだ。非情に徹しなければ勝てない相手だったということだろう。非情にさせてくれるほどの好敵手だとも言える。