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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「泣いてんじゃねえ!ってビンタしたけど…」WWEから帰還したSareeeが日本で目指す“プロレス”とは?「ライバルはいればいるほど面白い」
posted2024/07/28 17:10
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
L)Norihiro Hashimoto、R)Takuya Sugiyama
今年ここまでの日本女子プロレス界を見る限り、SareeeはMVP候補の筆頭と言っていい。
フリーとしてさまざまな団体に出場、SEAdLINNNGのシングル王座を保持し、7月13日にはマリーゴールド両国国技館大会のメインイベントでジュリアを下し“真紅のベルト”ワールド王座の初代チャンピオンに。
4月にはスターダムで岩谷麻優のIWGP女子王座にも挑戦している。この試合は敗れたものの大激闘。スターダムとそこから分裂したマリーゴールド、両方と関わりがあること自体がSareeeの特別なバリューを物語っている。
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話題性、集客力、それにもちろん実力。あらゆる意味で団体の壁を超越する存在なのだ。
「WWEは確かに凄い。でも…」
2011年にデビューし、2020年からはアメリカ・WWEへ。昨年、契約を終えて帰国するとフリーでの活動を開始した。その第1戦は5月の自主興行。対戦相手はライバル・橋本千紘(センダイガールズ)だった。
国内復帰でいきなりのトップ対決。Sareeeは敗れたが、結果以上に自分の出来に不満が残ったという。
「橋本との差を感じてしまって。2年半くらいアメリカで過ごして、久しぶりに食らったタックルで“うわっ!”となったんですよ。一つ一つの攻撃が、こんなに効くとは思わなかった。こんなはずじゃなかったと思いました」
アメリカで学び、求められたプロレスと日本のプロレス、特に女子プロレスは勝手が違う。そのことを橋本の技で痛感したのだ。
「私だって、以前はそれ(日本の女子プロレス)をやっていた。橋本に張り合えていた。なのに今はなんでこんなに動けないんだろうって。あの経験があって、日本でトップを取るためにはこのままじゃダメだと思えました。橋本に感謝ですね」
元WWE。アメリカ帰り。そんな表現でSareeeのキャリアを讃えるものもいる。ただ本人はこう捉えている。
「WWEは確かに凄かったです。とにかくスケールが大きくて、間違いなく世界一、最高峰。そこで得た経験は本当に大きかった。でも自分がやりたいのは日本の“強い”プロレスなんだってあらためて思いました。だからアメリカに行ったのも正解だったし、戻ってきたのも正解だったなって。
アメリカで経験してよかったことは……全部ですね。日本ではできないプロレスだし、そもそも誰もが行ける場所じゃないので。英語の勉強もして、世界中からきた選手と練習して試合して。心身ともに大きくなれた気がします。もう何があっても動じなくなりました。気持ちがすぐに切り替えられるようになりましたね。それは日常でもそうなんです」