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格闘技PRESSBACK NUMBER
42歳で死去…いったいなぜ? マイク・ベルナルド「日本人に愛された剛腕の悲劇」カメラマンが見た“忘れられない光景”「暗闇の中で聖書を…」
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2024/07/28 11:01
2012年に42歳の若さでこの世を去ったマイク・ベルナルド。日本のファンに愛された“ベルちゃん”の知られざる一面とは
亡き盟友との約束を果たし…K-1復帰で見せた“輝き”
1998年4月、ベルナルドはWAKO-PRO世界ムエタイスーパーヘビー級王者に挑戦し、2ラウンドKO勝ち。人生初のベルトを腰に巻いたベルナルドの瞳からは嬉し涙が溢れていた。彼の戦績を振り返ると、この頃がキャリアの絶頂期だったのかもしれない。
1999年6月の同ベルトの初防衛戦では、サム・グレコに判定負けを喫した。さらに10月の『K-1 GRAND PRIX '99 開幕戦』では、3年ぶりにK-1へ復帰したミルコ・クロコップに3度のダウンを奪われ1ラウンドでのKO負け。このときベルナルドは30歳だったが、5歳年下のミルコに完敗したことにより、世代交代を迫られた感がある。
2000年1月、ベルナルドはプロボクサーとしての活動を再開した。5月にはWBF世界ヘビー級王座を獲得。7月の『K-1 WORLD GP 2000 in NAGOYA』では、K-1のリングでボクシングの公式戦が行われた。だが、ライバルであり友人でもあったフグの急死を受け、9月からK-1へ復帰する。
フグが生前「私の代わりに出場してほしい」と願った2000年のグランプリ予選トーナメントでは、決勝のミルコ戦を含めて3試合連続の1ラウンドKO勝利。亡き友の思いに応えて健在ぶりを見せつけたが、これが大舞台での最後の輝きとなった。
2001年大晦日に行われた『INOKI BOM-BA-YE 2001』では、初めてのMMAルールで高田延彦と対戦しドロー。2002年以降は全盛期の強さは完全に影をひそめ、勝ち負けを繰り返した。そして2004年11月6日のガオグライ・ゲーンノラシン戦が、現役最後の試合となった。
引退後は地元で臨床心理士の資格を取り、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や薬物依存症など心の病を抱えた若者の心理カウンセラーとして働いていた。その一方で、トレーナーだったカラコダ氏との共同事業や選手育成も行い、ボランティア活動にも積極的に参加していたという。