胸を貫いた突然の訃報「いったい何が…」

　それは突然の知らせだった。

　2012年2月14日、マイク・ベルナルドは42歳の若さでこの世を去った。南アフリカ・ケープタウンの自宅で倒れているところを家族に発見され、搬送先の病院で死亡が確認されたという。

　言葉にならない驚きと悲しみが胸を貫いた。リング上で見せたあの剛腕、強面の風貌とは真逆の気さくな人柄、撮影で交わした会話や、穏やかな微笑み……。彼の身に、いったい何があったのか。

　死因は明らかになっていないが、うつ病を患っていたことや、過去の自殺未遂についても報じられた。彼の死に触れるニュースの数々を目の当たりにして、私はベルナルドが本当にこの世からいなくなったという事実を受け入れた。

　肌の色や人種を超えて、隣人を愛し、愛された格闘家だった。その繊細な優しさの向こう側で、他人には窺い知れない痛みや苦しみと戦い続けていたのだろうか。

　暗闇の中で、微かな明かりを頼りに、聖書を読んでいたベルナルドの姿が、今も忘れられない。

＜前編から続く＞

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