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NBA代理人の証言…河村勇輝23歳がパリ五輪後に挑む“シビアな競争”「カワムラに求められるのはパス能力」「待遇は今を下回る。ただ…」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/25 06:00
パリ五輪を前にNBAメンフィス ・グリズリーズとのエグジビット10契約合意を発表した河村勇輝(23歳)。パリ五輪で弾みをつけたい
E-10契約を結んだ時点で、実はトレーニングキャンプ参加が確約されるというわけではない。実際には“参加する資格がある”という方が正しい。契約の中身によっては参加できないこともあるが、河村の場合、本人の言葉にある通り、キャンプ参加がすでに確約されているのであれば、それは今回の契約の大きなメリットと言える。
チーム側から見ても、E-10契約を使うことで、ドラフト以外の方法で少なくともトレーニングキャンプまで河村のような有望選手を確保できるという利点がある。若手が中心のサマーリーグではなく、NBAの選手と一緒に参加するキャンプでその力を測ることができるのがチームにとってのメリットだ。
2ウェイ契約が叶わなかった場合は?
例年9月下旬から開催されるトレーニングキャンプの途中か終了時点で、E-10契約の選手は2ウェイ契約になるのか、Gリーグに送り出されるのかが判断される。レギュラーシーズン開幕までに2ウェイ契約にならなかった場合、一度はウェイバー公示され、他のチームがクレームできる。ただ、大抵はウェイバーを通過し、もともと契約したチームのGリーグチームにいく流れになる。そこでGリーグ行きを拒否もできるのだが、河村が2ウェイ契約を手にできなかったとしたら、すんなりグリズリーズ傘下のチームでプレーすることになるのではないか。
Gリーグでどれだけ力をつけ、アピールできるかが河村にとっても焦点になるのだろう。ドラフト外選手がNBAに到達するための一番の近道は、ユーロリーグでもNBL(オーストラリアのプロリーグ)でもなくやはりGリーグ。トップチームのスタッフが傘下チームに日常的に目をやり、そこで活躍すれば上に引っ張られる。NBAを目指す上で最も現実的なルートといえる。