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「少し意外でした」藤井聡太にタイトル戦で初めて勝った伊藤匠(21歳)が感じた異変「藤井さんだったら普通に勝ち切る印象もあったので…」
 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/07/21 11:01

「少し意外でした」藤井聡太にタイトル戦で初めて勝った伊藤匠(21歳)が感じた異変「藤井さんだったら普通に勝ち切る印象もあったので…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

藤井聡太にタイトル戦で初めて土をつけた伊藤匠

「正直に言うとあまり考えていなくて、普段通りのことを続けていました。後手番は作戦で苦労するので悩みましたが、それはいつものことなので」

 いまの自分の実力で真正面からぶつかる。一度も勝てていない状況でそれは修羅の道だが、伊藤に迷いはなかった。

 開幕戦で伊藤は魅せた。藤井の先手角換わりを堂々と受け、右玉に構える。藤井の攻撃にうまく反発してペースを掴んだのだ。だが終盤戦でミスが出て惜敗。序盤がうまくいっていただけにつらい敗北となった。

「これまでの対藤井戦では最も勝機がありそうだと感じていたので、その分の悔しさはありました。こういう(有利な)将棋も負けてしまうようでは厳しいなと」

 これで藤井との対戦成績は11敗1持将棋。伊藤が一局も勝てていない状況にメディアはかまびすしかったが、「数字の印象以上に気にすることはありませんでした」と伊藤は当時の心境を明かした。

 第2局。伊藤が先手番で角換わりに誘導すると、藤井が序盤で変化した。見慣れない形で力戦に持ち込んできたのだ。途中は伊藤が苦しくなった瞬間もあったが、藤井にミスが出て形勢逆転。伊藤は対藤井戦13戦目にして初白星をもぎ取ったのである。

「やっぱり1つ勝ってだいぶ楽になりました。ストレート負けが続くと申し訳ないですし、ホッとしました」と素直に語った。

第3局で感じた藤井の微かな異変

 第3局は伊藤にとって今シリーズの命運を分けた一局となった。藤井の先手角換わりを受けるも、序盤で形勢を損ねてしまう。優勢になった藤井がそのまま押し切るのかと思われたが、伊藤が反撃の姿勢を保ったことにより、終盤で受けを誤って逆転。伊藤が2勝1敗で奪取にリーチをかけた。

「苦しい将棋にしてしまったので、結果が出たことが驚きです。藤井さんであれば普通に勝ち切るような将棋だったという印象もあったので、少し意外でした」

 これまでのタイトル戦とはどこかが違う。伊藤は藤井の微かな異変を感じていた。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の【新叡王インタビュー】”藤井聡太を止めた男”伊藤匠21歳、大いに語る「藤井さんもやはり人間でした」《第3局で感じた王者の異変とは?》、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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