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核心にシュートを!BACK NUMBER
「年俸は4億円とも6億円とも…」日本代表・渡邊雄太の千葉ジェッツ加入で日本バスケは何が変わる?「プレーでも言葉でも魅力を示せる」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byFIBA
posted2024/07/12 18:25
千葉ジェッツへの入団が発表された渡邊雄太。NBAではラプターズなど4チームで活躍した
2021年の東京五輪出場後に男子代表のヘッドコーチ(HC)を任されたトム・ホーバスは、就任してからしばらくの間、それまで日本代表で活躍してきた選手のもとをたずねて回った。
すると、少なくない選手が、「日本代表での活動に疲れ切っており、代表活動は辞退したい」と伝えてきたという。2019年の中国W杯でも、東京五輪でも全敗に終わっていたのだから、心が折れた選手も少なくなかったようだ。
さらに、Bリーグの過密日程も影響して、代表活動に前向きではない選手が2021年から2023年のW杯までの間にはかなりいた。給料を払ってくれるのは所属クラブである。代表チームは名誉ではあるかもしれないけれど……そんな考えが、一部の選手の間に蔓延しつつあった。
渡邊が見せた「代表として活動する意義」
ところが、渡邊は違った。
NBA選手に課される活動日数の制限に気をつけながらも、許された時間のほぼ全てを代表に費やした。そして、日本代表で「必要とされる限り活動を続けたい」という強い想いがありながらも、沖縄W杯でパリ五輪の出場権を勝ちとれなければ「代表からは引退する」と宣言。ケガを抱えながらコートを走り回り、日本中を熱狂に包んだ上で、48年ぶりに五輪出場権を勝ち取った。
それ以降、バスケの代表選手たちを取り巻く環境がどうなったのかは、説明するまでもないだろう。
多くの人たちの希望となり、日本中どこへ行っても感謝されるようになった。
また、あのW杯以降、Bリーグの観戦チケットはプラチナチケットになった。もちろん、収入面でもCMなどの広告で起用される選手が増え、懐も潤った。
日本代表として活動する意義を、日本人選手たちに身をもって示したのが渡邊だった。
プレーでも、言葉でも、バスケットボールやスポーツの魅力を示すことができる渡邊は、これからのバスケットボールを含めたスポーツの価値を高めてくれるはずだ。
では、その経済効果はどうだろうか?
<次回へつづく>