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「私より上手い子は他にいるのにな」…あの“安倍マリオPV”で話題の「体操女子高生」はなぜ五輪を諦めた? 24歳になった土橋ココが振り返る葛藤
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byAFLO
posted2024/07/21 06:01
リオ五輪閉会式での東京五輪PR映像で一躍話題となった土橋ココさん。注目を集めた一方で、抱えていた高校生当時の葛藤とは?
土橋さんが当時をこう振り返る。
「いま思えば勉強不足だったんでしょうね。身長が伸びたら感覚にズレが生じるのは当然やし、中学高校にかけて女の子は生理も始まって体つきも変わってくる。今までやったらどれだけ食べても太らなかったのが、ちょっと食べただけで体重が増えたりもする。でも当時は何がアカンのかわかんなくって、正直苦しかったです。取り戻そうと思ってトレーニングもいつも以上にするんですけど、やっぱりダメで。だんだん逃げ道がなくなっていく感じでした」
体操は体重管理がシビアな競技だ。重いよりは軽い方が回転技もスムーズに行え、身長も高すぎない方が技の習得に有利だと考えられている。当時は、体重計に乗るのも怖かったと話す。
「もともと食べることが好きなんですよ。ジュニアの時とか、朝食から食パン3枚なんて当たり前。お菓子も好きで、よく食べてました。選手は自分で体重をコントロールしないといけないんですけど、私は自分にちょっと甘いんでしょうね。食べたいときは食べちゃえってタイプなので」
それに、と続ける。
「あの頃は今ほど知識もなくて、食べものも重さで判断していたんです。おにぎり一つ食べるよりも、チロルチョコ3つの方が軽いやんって。カロリーを計算したら断然お米の方が良いのに、そうやってお菓子の誘惑に負けてた。そこからケガも多くなって、万全な状態まではついに戻らなかったです」
体操を「嫌いになりかけた」高校時代
高校3年のある時期、彼女は体操から離れる決心をした。約半年近い休養。それはある意味で、東京五輪出場を諦めることでもあった。
本来の輝きを取り戻せないまま、夢が遠のいていった現実を、彼女はどう受け止めていたのだろう。
「多分、私のピークってけっこう早く来ていて、それこそ中学生辺りだったと思うんです。高校にかけては下がり気味で、辛かったし、しんどかった。ちょっと体操自体を嫌いになりかけていて、それをなんとかして変えたいって思ってました」
<次回へつづく>