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東京五輪のPR映像、覚えてる?…“スクランブル交差点で開脚ジャンプ”の体操女子高生・土橋ココ(24歳)の今「渋谷に行くのも初めてだったんです」 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph by(L)JIJI PRESS、(R)Takashi Shimizu

posted2024/07/21 06:00

東京五輪のPR映像、覚えてる?…“スクランブル交差点で開脚ジャンプ”の体操女子高生・土橋ココ(24歳)の今「渋谷に行くのも初めてだったんです」<Number Web> photograph by (L)JIJI PRESS、(R)Takashi Shimizu

リオ五輪閉会式での東京五輪PR映像で一躍話題となった土橋ココさん。24歳になったいま振り返る、当時の喧騒とは?

 土橋さんは当時をこう振り返る。

「渋谷自体が私、初めてだったんですよ。前日の夜にお母さんと一緒に近くのホテルに泊まって、ハチ公ってこんななんや、スクランブル交差点ってこんなに人がおるんやって。

 いわゆる楽屋に入るのも初めてで、お弁当がある、ブラックサンダーがいっぱい置いてあるって、二人ではしゃいでました(笑)。メイクさんにきれいにしてもらって、楽屋にはセーラー服が用意されてました。高校はブレザーやったんで、セーラー服が着られるのもなんか嬉しかったです」

 早朝の渋谷で屋外撮影を行った後、近くのスタジオに移動して、制服姿のままアクロバチックな動きを披露した。

 ただしこの撮影は、一部関係者を除いては極秘事項だった。

「撮影を行ったことは『言わないで』って言われてて。だから、友だちにも誰にも言ってなかったです。私の性格上、黙っててって言われると逆に言いたくなるタイプなんですけど、それに耐えられるくらいの短い期間で良かったです(笑)」

「ココちゃん、出てたよね!」一躍、時の人に

 いざ閉会式で映像が流れると、周囲がにわかに騒がしくなった。「ココちゃん、出てたよね!」と、LINEには数多くのメッセージが入った。それに関する取材も殺到し、体操クラブや学校では一躍時の人となった。

「ただ、当時はすごい人見知りで、引っ込み思案なところがあったので、自分ではあまり気づかないようにしてました。体操の試合に行って、『サイン下さい』とか。それは嬉しかったんですけどね……」

 言葉を濁すのは、どこか割り切れない想いがあるからだろうか。

 東京五輪の期待の星と持ち上げられながら、その後再び「土橋ココ」の名が世間を賑わすことはなかった。

 リオ五輪閉会式からの8年間を、土橋さんはどう過ごしてきたのだろう。

<次回につづく>

#2に続く
「私より上手い子は他にいるのにな」…あの“安倍マリオPV”で話題の「体操女子高生」はなぜ五輪を諦めた? 24歳になった土橋ココが振り返る葛藤

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