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箱根駅伝出場の元監督が異例の「選手」復帰…上野裕一郎38歳が佐賀で目指す「恩返し」「瀬古(利彦)さんと両角(速)先生が心配してくださって…」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/06/29 06:02

箱根駅伝出場の元監督が異例の「選手」復帰…上野裕一郎38歳が佐賀で目指す「恩返し」「瀬古(利彦)さんと両角(速)先生が心配してくださって…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

選手専念の形では5年ぶりに競技復帰を果たした上野裕一郎。所属のひらまつ病院(佐賀県小城市)での競技生活について話を聞いた

「僕は、38歳、もうすぐ39歳になります。2007年に13分21秒49の自己ベストを出した時のようにレースに何本も出て、バンバン記録を出せる状態じゃない。1本1本をすごく大切にしています。そのために、このレースは練習、このレースは勝負というのを明確に分けています。目的意識を持ってレースをすることの重要さは、立教大で指導している時に身についたものです。強化と勝負を分けて考えろと学生に言っていたのに、自分ができないとダメだろと思い、そういうマインドになりました」

 今年の日本選手権の出場は不可能になったが、来年には東京世界陸上がある。かつてのように世界の舞台に挑戦するのかと思いきや、上野は「そういうビジョンはないです」と笑った。

背中を見せられるおじさんになりたい

「今は、20代の若い選手たちに少しでも背中を見せられるおじさんになりたいです。実際は、遅いんで背中は見せられないかもしれないですけど、39歳でもこれだけやれるよ、39歳がうしろから来ているよっていうのを見せたい。もちろん、年齢を言い訳できないアスリートに戻ったので、レースの際は勝負します。世界では僕よりも1歳上のキプチョゲがパリ五輪のマラソンで五輪3連覇狙っていますからね。マジですごいと思いますし、だから言い訳なんかできないですよ」

 ふたたび、陸上の世界に戻り、走る喜び、若手と一緒に練習する楽しさを感じることができて、上野の表情は活き活きしている。

解任、バッシング…上野を支えたものは?

 ここに至るまで、上野を支えたのはいったい何だったのか。

【次ページ】 おまえはここで身を引くような存在ではない

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上野裕一郎
立教大学
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