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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「(井上尚弥戦は)楽しみにしてもらえれば」東京ドームで観戦した中谷潤人が語る、“井上の特別な能力”「ネリは何もできない状況だった」
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/05/31 17:02
「井上尚弥vsルイス・ネリ」東京ドームの激闘を現地で観戦した中谷潤人にインタビューを実施した
「井上選手は凄い試合をしてきているので、僕も(周囲から)名前を出してもらえるということは、いい試合をできているのかな、と思える。周りの人の気持ち、思いがあれば、おのずと道は開けてくると思う。そこが(最終的な)目標っていうわけではないけど、大きな一つのビッグマッチとして楽しみにしてもらえればなと思っています」
中谷潤人は“井上vsネリ”を目の前でどう見たか?
ルディの言葉と周囲の期待感。それらを胸に秘め、5月6日、東京ドームの井上尚弥―ルイス・ネリ戦をリングサイドで観戦した。
「1ラウンド目のダウンはありましたけど、そこからの修正能力というのはすごく見応えがありました」
井上は1回にプロアマ通じて初のダウンを喫したものの、2回に左フックでダウンを奪い返す。以降はペースをつかみ、5回に再び左フックで倒し、6回には圧巻の右ダブル。右アッパーからのコンパクトな右でキャンバスに沈めた。
中谷は井上とスパーリングをしたことはない。「向き合っていないからわからないですけど」と前置きし、井上の最も優れている点として挙げたのが、対応力だ。
「1回は結構近い距離、ネリのパンチが生きる距離でやっているな、と感じたんですが、2回目以降はより警戒して、自分の距離を徹底してジャブで寄せ付けなかった。そこから、しっかり組み立て直していた。ネリは2回以降、何もできていない状況だったので。対応力っていうか、対応して、自分のボクシングを通用させる能力っていうのがすごく高い。どんな相手にでも自分のボクシングをして、通すというのはさすがだなと感じますね」
中谷が真っ先に挙げた“衝撃のロドリゲス戦”
すぐにペースを奪い、2回以降はネリに主導権を渡さなかった。目を見張る井上の対応力。それはこの試合に限ったことではない。中谷が真っ先に挙げたのが2019年5月のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦だ。1回からハイレベルな攻防を展開し、珍しく井上がプレッシャーをかけられ、受けに回る場面があった。
「2回からロドリゲスがそう来ると想定というか学習して、そこをアジャストしていく。やっぱりリングに上がって相手がどう来るかわからない。そこに対して、自分がどういうアングルだったりとか、フェイントだったり、どう対応するか、という対応力が優れているなと感じますね」