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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「バイクとかパクってええけど、ちゃんと返せよ」辰吉丈一郎の“ナゾの教え”に「アカンやろ」…次男・寿以輝が明かす“辰吉家の超ポジティブ教育”
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byTakuya Sugiyama/Number Web
posted2024/05/12 11:10
プロボクサーとして無敗のキャリアを歩む辰吉寿以輝(27歳/写真右)。“超ポジティブ”な辰吉家の教えや、父・丈一郎との関係について語ってくれた
「僕、ネガティブになったこと一度もないんですよ」
父は父、自分は自分。ただ、ボクシングの技術は教わったことがなくても、父親から多大な影響を受けたことは間違いない。そのボクシング哲学を聞いていると、まるで“浪速のジョー”なのだ。
「僕、ネガティブになったこと一度もないんですよ。だから人が悩んでいるという気持ちが分からない(笑)。家族もみんなポジティブ。たとえばこういうことは誰もやってないって話になったら、『じゃあ、お前が一番最初やん』って言ってくれたりとか。マイナスな方に一切考えないんですよね」
だからなのか、寿以輝はボクシングを始めてこのかた、「世界チャンピオンになる」という軸が揺らいだことはない。「なれないのではないか」と不安になったことさえ一度もないというから驚きだ。
「そういう教えなんですよ。おじいちゃんから。山に登りたい人が2人いるとして、『登りたい』という人間と『絶対に登る』という人間がいたら、実力が一緒でも登りきるのは『絶対に登る』という人間やと。ボクシングも同じで、『なりたい』でなれるほど甘い世界じゃないというのはありましたけど、『なる』って気持ちがあったらどうにかなる、という感じです。『できへん』とか『嫌や』とか言ってるヤツ、できるわけないやんって。ポジティブ一家なんですよ」
ひょうひょうと語る寿以輝は「そんな当たり前のことを聞かれても」と言わんばかりだ。今後の展望を含め、毒とユーモアに包まれた“辰吉語録”はまだまだ続く――。
<後編へ続く>