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大阪桐蔭→巨人ドラ1で一軍登板なし「156km左腕」は秋田で現金輸送の警備員になっていた…辻内崇伸が語る「普通の人になれたことが嬉しい」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/13 11:00
2005年の高校生ドラフト1位で巨人に入団した辻内崇伸さん
痛みをひた隠しながら、左腕は第1クールから2日連続でブルペン入り。中1日空けた3度目のブルペン投球では、原監督の見守る前で「ラスト1球」になかなかOKが出ず20球を要し、計82球も投じた。その第1クール最終日、悲劇は起きた。
「肘が曲がったままブチって…」
「投球練習をしようとしたら球が握れなかった。力が入らなかったんです。肘が曲がったまま、ブチっていう感じで止まってしまった。切れたんだな、と思いました。でも後ろで監督も見ていたので、その状態のまま確か2球くらい投げたんですよ。でも無理で……」
宮崎から急きょ東京に戻り、病院に直行した。あまりの痛みと尋常ではない肘の状態から、覚悟はしていた。結果は「左肘靭帯断裂」。そこから、辻内さんの長い闘いが始まった。
〈つづく〉