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「ネリほどパワーはないのだが…」井上尚弥と交渉開始、サム・グッドマン(25歳)とは何者か? 東京ドームで直撃「モンスターも人間だった」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byL)JIJI PRESS R)Daisuke Sugiura
posted2024/05/10 17:05
井上尚弥vsルイス・ネリをリングサイドで見届けたサム・グッドマン(25歳)
――2回以降、井上の適応についてはどう思いましたか?
SG 間違いなくすぐに適応し、自身のボクシングを見つけ出したのは印象的だった。ボクシングではああいったことが起こるもので、すべてがパーフェクトに進むわけではない。とにかく多くのものが見られたし、今日得たものを対戦する際の助けにしていきたいと思う。もっとも、結局のところ、どれだけ自分の長所を生かせるかの方が重要になってくるのだろうけれど。
――改めて、世界的に高評価を受ける井上の印象は?
SG すごい選手だと思う。とてつもないボクサーだが、彼に勝つ方法は必ず存在する。私はそのための武器を幾つか持っていて、それらを生かして戦うつもりだ。巨大なチャレンジを楽しみにしている。彼に勝つためには最高の試合をしなければいけないのはわかっているが、偉大な選手として認められるための機会が手に入るというのは素晴らしいことだ。
――井上の長所と、可能であればどこに付け入る隙を感じるのか話して頂けますか?
SG 彼がとてつもなくパワフルであることは周知の事実であり、秘密ですらない。それと同時に聡明でもあり、多くのことを上手にこなすボクサー。ただ、私も自身のスキルには自信を持っている。井上に勝とうと思えば多くのものが必要だ。優れたフットワーク、ディフェンス、ヘッドムーブメント……それらのすべてを上質な形でやらなければいけない。1つの場所に止まっていたら、パワーとうまさを兼備した井上の餌食になってしまうからね。
「挑戦権を得てから1年以上も待ってきた」
――試合後、リング上で井上本人から直々に9月に予定している次の試合の対戦相手候補として指名を受けました。
SG 試合を実現させられるはずだ。私は指名挑戦権を得てからもう1年近く待ってきた。これから彼の陣営が私のチームと話し、交渉を進めていくことになる。
――あなた自身もスピード、テクニック、優れたディフェンスなどを備えた多才な選手ですが、一番自信を持っているのはどの部分でしょう?
SG 私は賢明なボクサーであり、考えて戦う選手だという自負がある。莫大な才能に恵まれていたというわけではなく、この位置に辿り着くまでにハードワークを継続せねばならなかった。粘り強く取り組み、少年時代から努力してきた。その努力のおかげで夢を叶えるまであと一歩のところに来たんだ。もう誰も私を止めることはできないよ。これまでの試合で私の持てる力のすべてが発揮されたわけではない。井上のような選手との戦いでこそ、ベストのサム・グッドマンが引き出されると思う。