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「ネリほどパワーはないのだが…」井上尚弥と交渉開始、サム・グッドマン(25歳)とは何者か? 東京ドームで直撃「モンスターも人間だった」
posted2024/05/10 17:05
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
L)JIJI PRESS R)Daisuke Sugiura
「次戦は9月頃、隣にいるグッドマンと防衛戦の交渉をしていきたいと思います」
5月6日、東京ドームで行われた世界スーパーバンタム級4団体統一戦でルイス・ネリ(メキシコ)をKOした直後、井上尚弥(大橋)がそう宣言したことでサム・グッドマン(オーストラリア)の名前がクローズアップされることになった。
IBF、WBOで同級1位にランクされるグッドマンは18戦全勝(8KO)。ニューサウスウェールズ州出身の25歳の名前は世界レベルの知名度とはいえないが、昨年3月には元IBF王者のTJ・ドヘニーとの新旧豪州対決に判定勝ち。同年6月、無敗のスピードスターとして売り出されていたライース・アリーム(米国)にも2-1ながら明白な判定勝ちを飾り、複数の世界王座認定団体から高評価を受けるに至った。
パワーはそれほどでもないものの、スピード、スキルに恵まれた端正なボクサータイプ。今回、初来日を果たして井上対ネリ戦をリングサイドから観戦したグッドマンに試合前後、じっくりと話を聞いた。
「イノウエのダウンにショックを受けた」
――オーストラリアから来日し、東京ドームを訪れた理由は?
サム・グッドマン(以下、SG) 私はIBF、WBOのランキングで1位にランクされ、ボクシングを始めた頃からの夢である世界王者にあと一歩まで迫っている。現在、井上がこの階級のすべてのベルトを持っている。世界挑戦を受け入れてもらうために、現場に来て存在感を示しておきたかった。
――いつ来日し、どのくらい日本に滞在するのでしょう?
SG 試合の2日前に到着した。目的は井上対ネリの試合を観ることだけだから、滞在は全部で5日間のみだ。
――リングサイドで観た井上対ネリ戦をどう思いましたか?
SG 激しい戦いだった。井上も人間であり、ミスを犯せばダメージを受けることがあるとわかった。井上戦は私にとって勝機のある試合だと感じたよ。
――第1ラウンド、井上が喫したダウンにはやはり驚かされたのでしょうか?
SG もちろんショックを受けた。ネリにはパンチ力があることはわかっていたけれど、あれほど早い段階で井上がダウンするとは思わなかった。井上はミスを犯し、パンチをもらった。つまり井上にも弱点があると示されたということだ。