ボクシングPRESSBACK NUMBER
「実力差は明白」「井上尚弥が5~7ラウンドでKOする」米リング誌編集長が指摘するネリの致命的な悪癖とは?「危険な挑戦者ではあるが…」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/06 06:02
計量はともに一発クリア。会見では緊張感が漂っていた
ここで先に井上対ネリ戦の予想を述べておくと、井上の中盤KO勝ちだと思っています。5〜7ラウンドくらいには決着がつくのではないでしょうか。
ネリは井上にとっても危険なチャレンジャーであると認識しています。ただ、メキシコ人の元王者には身体能力の面で限界があり、井上ほどのレベルのボクサーであればつけ込むことが可能な悪癖が残っています。それを考慮し、井上が比較的早い段階からネリに強打を打ち込んでいくだろうというのが私の見立てです。
「ネリは序盤から大胆に攻めてくる」
ネリはこれまで多くの強敵と拳を交えてきた経験豊富なサウスポーです。過去の対戦相手の中には山中慎介(帝拳)、ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)、マックジョー・アローヨ(プエルトリコ )、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)といった世界タイトルホルダーも含まれ、その中で負けたのは2021年5月15日、フィゲロアにボディブローで倒された一戦だけです。そのネリも、井上の前戦の相手であるタパレスほど抜け目のない戦い方ができるわけではありません。
タパレスは昨年12月、非常に慎重に戦い抜くことで井上を相手に10ラウンドまで粘りました。ネリはそういうタイプではなく、井上戦にも大胆不敵な態度で臨んでくるでしょうが、その一方でスピード、反射神経は世界最高レベルとはいえません。
ネリが序盤からアグレッシブに攻めてくる姿が想像できます。最近の井上の対戦相手と比べても、積極的に打ち合い、エキサイティングな戦いを演出してくれるとは思います。
ただ、ガードが低く、パンチは常にループ気味であるがゆえに、井上のジャブ、いきなりの右、強烈なワンツーといったパンチの格好のターゲットになるように思えるのです。もしも、ネリが自身の右ジャブを重視しようとすれば、“モンスター”はタイミングのいい左フックをカウンターで合わせてくるのではないかと見ています。