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女子バレー宮下遥29歳が現役引退…“天才少女”が歩んだ15年のバレー人生「私がつぶしちゃった…」今も悔やむ8年前の出来事とは? 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byAFLO SPORT

posted2024/04/30 17:06

女子バレー宮下遥29歳が現役引退…“天才少女”が歩んだ15年のバレー人生「私がつぶしちゃった…」今も悔やむ8年前の出来事とは?<Number Web> photograph by AFLO SPORT

今季限りでの現役引退を発表した宮下遥(写真は2014年ワールドグランプリ)

 表情がほころんだのは、バレーボールの質問を終えて好きな食べ物を尋ねた時だった。

「お母さんのコロッケが好きなんです。うちのお母さん、手が大きいからコロッケもすごく大きくて。ハンバーグとかも大きいんですけど、大きくてジャガイモがゴロゴロ入ったコロッケが一番好きです」

 コートでは淡々とした振る舞いを見せるが、ひとたびその場を離れると、実は感情豊かで涙もろい一面もある。さまざまなシーンで見せるギャップが、いつも面白かった。振り返れば、Vリーグデビュー戦ではプレー中にチームメイトと交錯して前歯を2本も折るアクシデントがあった。何年かしてから話題に上げると、今はきれいに揃う前歯を「いーっ」と見せながら笑った。

「試合中は必死でした。でも冷静に考えたら、歯が折れちゃったわけじゃないですか。私、このまま歯かけとして生きていかなきゃいけないのかな。どうしよう、って内心はめちゃくちゃ焦ったし、泣きそうでした(笑)」

恩師が期待した長身セッター“未来の姿”

 15歳から積み重ねた経験と周囲を魅了する人間性。あふれるばかりの可能性を秘めた宮下をセッターへと転向させた恩師でもある岡山の河本昭義監督は、事あるごとに期待を寄せていた。

「遥が日本代表のセッターになったら、日本はオリンピックで金メダルを獲る。技術に長けたセッターは他にもたくさんいるけれど、土壇場に追い込まれた時の強さ、味方も驚かせるような大胆さを持っているのは彼女しかいません。いつかその時が来たら、本当に楽しみですよ」

 師が描いた“いつか”は間もなく訪れた。

【次ページ】 セッター竹下佳江の後継者、木村沙織と猛特訓

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