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SNSは複数アカウント運用、突然本人が「撮ってくれてありがとう」とメッセージ…ルイス・ネリを追ったカメラマンが振り返る“お騒がせ男”の素顔
text by
北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byNaoki Kitagawa
posted2024/05/05 11:02
山中慎介との2度の戦いを巡る狂騒曲で日本では“悪童”のイメージが強いルイス・ネリ。実際に交流があったカメラマンが語る素顔とは…?
あっという間だった。
狂喜乱舞したネリが、こちら側のリングポストに駆け上がってきて雄叫びを上げた。カメラマンとしてアングルに恵まれて、この瞬間をしっかりと押さえることができた。ネリを実際に見て、彼の不気味さの正体がすこしわかった気がした。
試合後、突然ネリ本人から「メッセージ」が…
そしてこの試合で撮った写真を自分のInstagramにアップすると、突然ネリ本人からダイレクトメッセージが届いた。そこにはこう書かれていた。
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「Hola amigo. Esa es una gran foto」(やあ友人、素晴らしい写真だね)
「Que buenas fotos amigo muchas gracias」(とても素晴らしい写真をありがとう)
「Gracias amigo. Subiré algún más a mi pagina」(ありがとう。私のページにさらにいくつかアップロードします)
ネリは私が撮影した写真をInstagramとFacebookに投稿し、一時期はプロフィール画像にも設定していた。客席から、あわよくばとカメラを構えていた当時の私にとっては嬉しいできごとだった。そんなやりとりをしていく中で、いくつかのSNSでネリとつながり、その後も彼の投稿で私の写真が登場した。
しかし、すぐに件の「ドーピング違反」が発覚する。私と“気さく”にやりとりをしていたネリとは打って変わって、傍若無人な彼の一面がクローズアップされていく。
日本人として、山中のイチファンとしても複雑な心境だったが、せっかくここまで近づけたネリとの繋がりを何らかの“成果”に繋げたかった私は、その後も幾度か彼とコンタクトを取った。私が投稿した写真に、ネリがレスポンスすることも度々あったように思う。
約半年後に再来日が決まると、ダメ元でポートレートの撮影打診をスペイン語で送った。しかし、その頃にははっきりとしたレスポンスがとれなくなっていた。
ネリのInstagramのアカウントは、私の知っている限りで3つあった。
Facebookのアカウントに至っては、いつからか本名の登録ではなく「スポンジボブ」と名前が変わっていおり、本名をカモフラージュしているような印象を受ける。プロフィール画像も現在はネリ本人の写真に設定されているが、一時期は別人の写真を設定していたりフィードの投稿もいわゆる“面白画像”の類が多く、何だか支離滅裂な感じだった。
ネガティブな意味とは限らないが、彼の行動のひとつひとつが破天荒で、自分にとって理解しにくいものだということが、この頃明確になった。