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決勝転倒リタイヤも、マルク・マルケスが得意のアメリカズGPで見せた“絶対王者”復活の気配《一時はトップ走行でファン歓喜》
posted2024/04/17 11:03
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
アメリカのレースファンは、いつの時代も“強くて速いライダー”が大好きである。2013年のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、モトGPクラスにデビュー2戦目にして史上最年少記録で初PP・初優勝を達成したマルク・マルケスは、アメリカのファンにとって偉大なヒーローのひとりである。
マルケスはアメリカラウンド(アメリカズGP、USGP、インディアナポリスGP)でデビューから10連勝を達成。合計13戦して11勝という驚異的な勝率を誇っている。そしてアメリカズGPでは18年まで6連覇を達成した。
だが、19年に転倒リタイアすると、20年はコロナ禍で開催中止。21年に7勝目を挙げたが、22年はホンダのマシン低迷で6位。昨年は怪我のために出場できず、マルケスファンにとっては寂しい時期が続いた。しかし、今年はドゥカティに移籍して「強いマルケス」が復活しつつあり、その熱い走りにファンは一喜一憂することになった。
スプリントで見せた速さ
土曜日に行われた予選は今季ベストグリッド獲得の3番手。その後に行われた10周のスプリントでは、今季初PPから快走したマーベリック・ビニャーレスを追撃して2位でフィニッシュ。優勝こそ果たせなかったが、レース後のセレモニーではアメリカのファンの声援の中、壇上に現れたヒップホップの歌い手に合わせダンスを披露するファンサービスで大いに盛り上げた。
絶対王者として君臨した時代を彷彿させるパフォーマンスにアメリカのファンも大喜びで、気分の乗ってきたマルケスが日曜に行われる20周の決勝レースでどんな走りを見せるのか、ドゥカティ初表彰台・初優勝を達成するのだろうかと期待は膨らむばかりだった。
迎えた決勝レース、フロントロースタートのマルケスは1コーナーで押し出される格好でやや遅れるも、1周目を4番手で戻ってきた。5周目には先行するディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイアと驚異の新人ペドロ・アコスタをかわして2番手に浮上。