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「水原一平氏がいれば起こり得なかったが…」大谷翔平ドジャース第1号“ホームランボール騒動” 在米プロ通訳の視点は?《過去には観客間で訴訟も》 

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奥窪優木

奥窪優木Yuki Okukubo

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posted2024/04/11 17:00

「水原一平氏がいれば起こり得なかったが…」大谷翔平ドジャース第1号“ホームランボール騒動” 在米プロ通訳の視点は?《過去には観客間で訴訟も》<Number Web> photograph by Getty Images

4月3日(現地時間)のジャイアンツ戦でドジャース移籍後、第1号となるホームランを放った大谷翔平。その後のボール回収ではまさかのトラブルも

 その理由について指摘するのは、長年プロスポーツを取材するフリーランスの米国人記者だ。

「試合で使用されるボールの所有権はMLBに帰属しています。ただ、慣例的には『ホームランが打たれた時点でその所有権は放棄されている』と解釈され、キャッチした人が所有できることになっている。しかし、数字の節目となるような記念球については、球団や打者がサインや写真撮影などと引き換えにボールの返還を交渉することはよくあった。

 交渉の末に回収されれば、球団や選手が記念に保管したり、お世話になった人に贈ったり、チャリティに回したりする。しかし、大谷の熱狂的なファンが増えるなか、ホームランボールの返還交渉がどんどん難しくなってきている。また、転売市場で大谷のホームランボールは高額化しており、問題となった移籍後1号のホームランボールの価値は10万ドル(約1500万円)にものぼると試算されている。転売目的でないとしても、心理的に簡単に手放せないのは当然だし、回収を任された球団関係者が懸命になるのも理解できる」

過去にはボールの所有権を巡って訴訟も

 ちなみにMLBのホームランボールの権利を巡っては、過去に訴訟も起きている。

「2001年10月7日のドジャース戦で、ジャイアンツのバリー・ボンズは年間最多本塁打記録を更新する73号ホームランを放った。その後、観客席に飛んできたこの記念球に触れた2人の観客の間でその所有権を巡る訴訟が勃発。14カ月の法廷闘争の末、『ボールの売却益を双方で50%ずつに分ける』という判決が下った。ボールはその後、51万7500ドル(約7760万円)で売却された」(同前)

『The Athletic』の続報によると、その後、ドジャース関係者がローマンさんと接触。夫妻はドジャー・スタジアムで選手たちと対面できる機会が提供されたほか、最高級クラスの席での観戦チケットが贈られることとなり、「円満和解」に至ったようだ。

 ただ、大谷が今後さらに伝説的存在となっていく可能性も高い。今回のような不必要な摩擦を減らすため、何らかの「大谷ルール」が必要かもしれない。

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