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「水原一平氏がいれば起こり得なかったが…」大谷翔平ドジャース第1号“ホームランボール騒動” 在米プロ通訳の視点は?《過去には観客間で訴訟も》 

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奥窪優木

奥窪優木Yuki Okukubo

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posted2024/04/11 17:00

「水原一平氏がいれば起こり得なかったが…」大谷翔平ドジャース第1号“ホームランボール騒動” 在米プロ通訳の視点は?《過去には観客間で訴訟も》<Number Web> photograph by Getty Images

4月3日(現地時間)のジャイアンツ戦でドジャース移籍後、第1号となるホームランを放った大谷翔平。その後のボール回収ではまさかのトラブルも

 ピンとこない読者もいるかもしれないが、ニューヨーク州公認不動産エージェントで通訳者としても活動する木城祐氏が説明する。

「大谷選手はホームランボール回収の経緯について、『ファンの人と話して』と説明していますが、その主語を省略しています。これは日本語ではよくあることなのですが、英語では基本的に主語の省略はできないので、常に通訳泣かせです。この場合、大谷選手が省略した主語は『球団関係者』だったはず。それを(新通訳のウィル・)アイアトンさんは『I was able to talk to the fan, and I was able to get it back』と主語を『私』にして通訳している。

 これが現地メディアでも報じられていたので、一部のSNSユーザーはローマンさんの投稿と矛盾を感じてしまった。水原氏のように大谷選手と四六時中一緒にいればこうした間違いは起こり得なかった行き違いですが、他の職務と兼任の臨時通訳なら仕方ない部分だと思います」

 さらにローマンさんは、記念球を回収した球団関係者の態度にも不満を表している。

 ホームランボールを受け取って持ち帰る場合、球団による鑑定を経て、認証としてボールの表面にホログラムが貼られる。

 しかし4月4日付の米スポーツメディア『The Athletic』によると、ローマンさんは「ボールを持ち帰るなら鑑定や認証は行わない」と脅されたという。認証されなければホームランボールに価値はないため、しぶしぶサイン入りのキャップやバットなどと引き換えに、世紀の記念球を引き渡したことを明かしている。

なぜこれまでなかったトラブルが起きた?

 しかし、大谷がホームランボールを回収したのはこれが初めてではない。

 2018年4月3日にメジャー第1号のホームランを放った大谷は試合後、ホームランボールを手にした少年やその家族とともに写真撮影に応じ、サイン入りのバットやユニフォームと引き換えに、記念球を回収している。

 また昨シーズンの7月2日には、エンゼルスの3番DHとして出場したダイヤモンドバックス戦の第4打席、投手ネルソンから放った31号ソロのホームランボールも球団に回収を依頼していたようだが、手にしたのが少年とわかると回収を撤回している。

 ところが、今回のようなホームランボールの回収に関わるトラブルは、これまで表面化してこなかった。

【次ページ】 過去にはボールの所有権を巡って訴訟も

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