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「自分は賞味期限が切れた人間」引退・入江陵介が1年前に明かした“どん底時代”…それでも34歳まで水泳を辞めなかった理由「パリ行きたかった」 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byKiyoshi Ota/Getty Images

posted2024/04/04 17:00

「自分は賞味期限が切れた人間」引退・入江陵介が1年前に明かした“どん底時代”…それでも34歳まで水泳を辞めなかった理由「パリ行きたかった」<Number Web> photograph by Kiyoshi Ota/Getty Images

現役引退を表明した入江陵介(34歳)。3月の日本代表選考会がラストレースとなった

「若い選手たちにはたくさん経験をして欲しいと思います。成功体験だけではなく、大きく失敗することも、チャレンジする勇気も日本代表で学んでほしい。もちろん、プレッシャーもあると思います。今回の選考会期間中も、いろんな選手が『オリンピックの選考会ってこんなにしんどいんですね』って言っていたんですけど、『俺はこれで5回目なんだよ』って話をして(笑)。これから先、苦しいこともたくさんあると思いますが、楽しむことも忘れず、水泳を嫌いにならずに続けて欲しいですね」

「自分のため、後輩のため、競泳界のため」

 五輪選考会を始め、幾度もプレッシャーと向き合ってきた入江自身がこんなにも長く第一線で活躍し続けられたのは、その根底に水泳が好きだというシンプルな思いがあったからこそ。と同時に、とくに近年は日本競泳界のリーダーとしての責任や使命感が彼を奮い立たせてきた。

「結果だけを追い求めていたのなら、きっと自分はとっくに辞めていたと思います。今も続けているのは、やるべきことがあるからこそ。自分のため、後輩のため、そして日本の競泳界のため。自分がどれだけやり切ったと思えるか。悔いなく終わらせることができるか。自分にとっては今、それが一番重要なんです」

 そう語っていたあの日から1年――。

 パリへの思いは残念ながら叶わなかった。それは一つの“悔い”として残ってしまったかもしれない。それでも今、“やり切った”と胸を張って言えるのではないだろうか。

 今の自分に声をかけるとしたらなんて言葉を?

「“ちょっとやりすぎたね”って。でも“やりすぎまでよくやったな”と言ってあげたいです」

 決して“やりすぎた”とは思わない。長きにわたり日本のトップで走り続けたことも、34歳まで続いた現役生活も、そこにはすべて意味がある。“偶然”ではなく“必然”の競技人生だったのだ。

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