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オリンピックへの道BACK NUMBER
女子卓球“黄金世代”加藤美優はなぜ24歳で突然、休養を選んだ?…世界卓球ベスト8の元《天才卓球少女》が「今まで卓球に追われすぎて」の真意
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by(L)Yuki Suenaga、(R)AFLO
posted2024/04/06 11:00
“史上最強世代”との呼び声高い日本の女子卓球界で戦ってきた加藤美優。パリ五輪を目前に控え、休養を選択した理由は何だったのか
周囲からの評価も当然、高かった。卓球界からの期待の表れは次のエピソードにも示されている。
2016年、リオデジャネイロ五輪の閉会式は、2020年東京五輪に開催地を引き継ぐセレモニーの場でもあった。東京の名所などの映像とともに柔道の阿部一二三ら若手アスリートが出演した。その1人として卓球界から参加したのは、東京出身でもあった加藤だった。
もう8年も前のことだから「頭に残っているかと言えばそうでもないんですけど」と振り返りつつ、こう語る。
「友達や知り合いからはたくさん連絡をいただきました。うれしかったですね」
2017年には初めてシニアの日本代表として世界選手権に出場し、2019年にも代表に選ばれた。同年の国際大会ではのちの東京五輪金メダリストであり、現在も王者・中国の主軸である陳夢を破り4位になったことも特筆される。
地元・東京での五輪も「一気に4年後は考えられなかった」
階段を1つずつ上がってきた加藤の前には、地元での東京五輪も控えていた。
「実はそれほど特別な意識は持っていなくて。4年サイクルで考えているというよりも、毎日毎日練習して、毎週毎週試合があって……そこをまず乗り越えていかなければいけない。正直、一気に4年後のことまでは考えられなかったんですよね」
五輪を最大の目標として、逆算して4年計画で進む他競技の選手も少なくない。そんな中、その言葉は卓球ならではのハードなスケジュールをあらためて痛感させた。
また、東京五輪はパリ五輪とは異なり、世界ランキングに基づいて選考されることになっていた。おのずと先の大舞台よりも、目の前の国際大会1戦1戦を大切にせざるを得なかった。
また、代表選考という観点でみれば、加藤の1学年下には、伊藤美誠、平野美宇、早田ひながいた。その3人に限らず、同世代には史上最強と言っていいライバルたちがひしめいていた。その中で戦ってきた。