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女子卓球“黄金世代”加藤美優はなぜ24歳で突然、休養を選んだ?…世界卓球ベスト8の元《天才卓球少女》が「今まで卓球に追われすぎて」の真意 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph by(L)Yuki Suenaga、(R)AFLO

posted2024/04/06 11:00

女子卓球“黄金世代”加藤美優はなぜ24歳で突然、休養を選んだ?…世界卓球ベスト8の元《天才卓球少女》が「今まで卓球に追われすぎて」の真意<Number Web> photograph by (L)Yuki Suenaga、(R)AFLO

“史上最強世代”との呼び声高い日本の女子卓球界で戦ってきた加藤美優。パリ五輪を目前に控え、休養を選択した理由は何だったのか

 加藤が卓球を始めたのは、6歳の時だ。

「家族で温泉卓球をやって、そのときに楽しくて始めた感じです」

 両親には「勉強か卓球か、どちらかは真剣にやりなさい」と言われた。

「じゃあ、勉強よりは卓球がいいなと思って」

 そう加藤は振り返る。

「始めたときは1日7時間とか普通にやってましたね。あとは学校終わりに3~4時間くらいです。練習が苦しかったか? もちろん苦しいこともありましたけど、基本、小さい子って親の言うことは聞くものじゃないですか。だから、自然にできていましたね」

 そんな生活を続けるうち、加藤は徐々に頭角を現していった。

「練習量も多かったと思いますし、毎週毎週いろいろなオープン戦とかをまわると、その都度ライバルが現れるので。その選手に『勝ちたい』『勝つためにはここが足りない』とやっていたら……気づいたら強くなっていたというか」

小学生ながら全日本選手権で4勝を挙げる

 小学6年生だった2011年4月に出場したITTFジュニアサーキットグアム大会のカデット(15歳以下)で優勝。翌年に出場した2012年1月の全日本選手権シングルスではベスト32(5回戦)に進出した。

 小学生が全日本で5回戦まで進むのはあの福原愛以来のことで、加藤は史上最年少で4勝をあげた。2012年には中学1年で世界ジュニア選手権日本代表に選ばれ、団体で準優勝を果たしている。

 高校生になった2015年にはドイツ・ブンデスリーガのチームに加入し、ヨーロッパで腕を磨いた。

「世界で活躍するというのも目標にしていましたし、日本でも順々に世代の大会で優勝してきたので、夢とかじゃなく、普通に世界に行って活躍すると思っていました。大きいことを言い過ぎと誤解を呼ぶかもしれないんですけど、そこまで行くことが当たり前……くらいに思っていました」

 実際、それは加藤が重ねてきた成績を考えれば、自然な言葉だった。

【次ページ】 地元・東京での五輪も「一気に4年後は考えられなかった」

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