将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太八冠「さすがですっ!」名人戦で対局“豊島将之九段への敬意”…観る将マンガ家が描く「藤井将棋攻略の佐々木勇気八段もスゴい」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/Keiji Ishikawa
posted2024/04/02 06:00
3月の将棋ハイライト。関連記事などからイラストをご覧になれます!
その藤井八冠ですが……チーム九州との対戦で豊島九段が佐々木大地八段と対局した際には「さすがですっ!」と豊島九段の指し回しを絶賛していました。
かと思えば、30日のチーム関東Aでの勇気八段戦を前にした豊島九段のインタビューの後ろで藤井八冠、「せとちゃん人形」の手を振って「頑張ってくださ~い」とエール。これぞ、あざとカワイイ(笑)。冗談はさておき、師匠・杉本八段の取り計らいで藤井八冠が幼少時に豊島九段と手合わせしたエピソードが将棋ファン内に知られますが、棋力を知るからこそのリスペクトを感じます。
トップ棋士が…二歩は怖い
いち早く決勝進出を決めたチーム中部に対して、決勝残り1枠を争うのは渡辺九段率いるチーム関東Bと、山崎隆之八段のチーム中国・四国です。そこに至るまでの対局で“ある事件”が……「二歩(同じ筋に歩兵を2つ置いてしまうと、反則負けとなる)」です。
まさかの出来事が起きたのは23日の関東Bvs九州の第7局、増田八段−天彦九段戦でのこと。この日3連勝していた増田八段が形勢的にリードしていたようなんですが、「8八歩」が配置されている状態で「8三歩」!
「二歩、アベトナはもちろんNHK杯などの早指し戦で、稀に起こるんですよねえ。起きた瞬間の“あーーー!!”という感情は……見てはいけないものを見てしまったというか、何と表現すればいいのか」
担当編集さんもつらそうな表情でしたが、控室にいた関東Bの監督・渡辺九段、森内九段、永瀬九段、伊藤七段全員――この4人が勢ぞろいするのもスゴい――が明らかにビックリしつつ少し笑みが見えるのは、この棋戦ならではなのでしょうか(苦笑)。それでも関東Bが最終的に勝利する辺り、さすがなわけですが。
そして最後に……奨励会三段リーグ最終局が9日に行われ、14勝4敗で山川泰熙新四段(25歳)、高橋佑二郎新四段(24歳)のプロ入りが決定しました。おめでとうございます!
なお山川新四段の師匠は、広瀬章人九段です。竜王、王位各1期にA級在籍10期、竜王戦1組以上5期とトップ棋士として確固たる実績を残しながら、プロ入りする弟子を持つという“二刀流”ぶりに改めて敬意を表したいと思います。
多士済々の棋士たちが、2024年度もどんな名局・おもしろシーンを見せてくれるのか。凝視して描き切りたいと思います。<構成/茂野聡士>