濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ここは殴りっこがしたい」RENAが“11カ月ぶりの復帰戦”で語った「楽しかった」が示すもの…タフなシン・ユリ戦で見えた“今後の可能性”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2024/03/28 11:02
『RIZIN LANDMARK 9』のシン・ユリ戦で判定3-0の勝利を収めたRENA
RENA相手にも臆さず立ち向かったシン・ユリ
試合にも、楽しいとしか表現できない燃焼感があった。対戦相手のシン・ユリは韓国の大会ROAD FCでベルトを巻いたが、ケガもあり生活が苦しく格闘技から離れていた時期も。今回は約3年ぶりの試合で、なおかつ日本のビッグイベントからのオファー。人気選手のRENAに勝てば、ファイターとしての未来が開ける。燃えないわけがない一戦だ。
シン・ユリはトップストライカーのRENAが相手でも臆さずパンチを打ち込んでいった。RENAは的確にパンチ、ローキックをヒットさせるが、左目の上から出血。そこからシン・ユリの攻撃はさらにテンポアップしていった。RENAは三日月蹴りを多用してボディにダメージを与えていくのだが、完全にペースを掴むことができなかった。的確さのRENA、勢いと手数のシン・ユリといった印象だ。
ただグラウンドになるとはっきり差が出た。2ラウンド、シン・ユリがテイクダウンに成功するもRENAが下からのアームロック。最終3ラウンドにはタックルを切ってパウンド、ヒジを連打していく。
「シン・ユリ選手は予想以上にタフでした」
RENAはそう試合を振り返った。
「(相手は)ポーカーフェイスで、ダメージあるのかなって自分を疑うくらい表情に何も出てなかった。真っ向勝負できたので、3ラウンドはタックルにいこうかと一瞬、考えたんです」
「ここは殴りっこがしたいな」
おそらく、そうしていれば楽に試合を進めることができただろう。だがRENAは自分からテイクダウンを狙うことはなかった。
「殴り合ってくれているのにタックルにいったら“逃げた”と言われるし、ここは殴りっこがしたいなって。久しぶりに試合をしたな、殴り合いをしたなという感覚で楽しかったですね」
敗れたシン・ユリにとっても、得るものの大きな試合だった。RENA相手に真っ向から打撃戦を展開したこと。RIZINのファンに自分の存在をアピールできたこと。対戦決定以来、インスタグラムのフォロワーが激増したそうだ。
「RENA選手はさすがベテランで、ガードが下がる私のミスを突いて左フックを当ててきました。強い選手がたくさんいるRIZINの中で、私もRIZINファイターとして頑張っていきたいです」