濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ここは殴りっこがしたい」RENAが“11カ月ぶりの復帰戦”で語った「楽しかった」が示すもの…タフなシン・ユリ戦で見えた“今後の可能性”
posted2024/03/28 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
一言でいうと「楽しかった」。そうRENAはコメントした。
3月23日の『RIZIN LANDMARK 9』(神戸ワールド記念ホール)。彼女は韓国のシン・ユリと対戦し、判定3-0で勝利を収めた。試合に勝って「楽しかった」はごくごく普通の、当然の言葉に思える。
だが実際には重要だった。RENAがデビューしたのは2007年、16歳の時だ。シュートボクシング女子部門のトップに君臨し、2015年からはRIZINで MMAに挑戦。酸いも甘いも、ありとあらゆる経験をして今32歳。キャリアは今回がトータル61戦目だ。それだけ闘ってなお、試合が楽しかったと言えるのは尊いことではないか。RENAはその境地に辿り着いたのだ。
負傷から、11カ月ぶりの試合
2021年の大晦日に敗戦。翌年7月の再起戦には勝利したが負傷し、試合間隔が9カ月あいた。復帰した昨年4月には足関節技で一本負け。ヒザを破壊されまたしても長期欠場となる。今回は11カ月ぶりの試合だった。
これ以上は負けられない。女子戦線で取り残されてしまうのではないか。そんなプレッシャーもあるように思われたが、試合を前にしたRENAはネガティブな感情はないのだと明言した。それくらい調子がよかったのだ。
キャリアで初めてだという海外でのトレーニングキャンプ。タイの名門「タイガームエタイ」での練習が自分に合っていた。日本での練習では、年齢も考え休養を重視していたそうだ。「週6で練習したら体がぶっ壊れる」と。
ところが、タイで猛練習に励むとまだまだ動ける自分がいた。数年前までは引退、キャリアの終え方についても考えていたが、キャンプを経て格闘技が再び楽しくなってきたという。