濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ここは殴りっこがしたい」RENAが“11カ月ぶりの復帰戦”で語った「楽しかった」が示すもの…タフなシン・ユリ戦で見えた“今後の可能性”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2024/03/28 11:02
『RIZIN LANDMARK 9』のシン・ユリ戦で判定3-0の勝利を収めたRENA
RIZINでRENAと対戦するという千載一遇のチャンスを掴むべく、対戦相手は必死に向かってくる。もしかすると本来の能力以上の力を出してくるかもしれない。RENAはこれまでも、これからもそういう相手と闘わなくてはいけない。今回のようにタフな展開になることもあるだろう。
かつてのRENAは、それに疲れていたのではないか。「自分で勝手に限界を作っていたのかもしれない」と本人も言う。だがタイで練習してみたら、もう自分には無理だと思っていた質と量に取り組むことができた。「まだまだ動ける」自分を練習でも試合でも感じることができた。老け込むにはまだ早い。
延命ではなく、RENAは戻って来た
「昔の感じが出せたな、取り戻せたなという感じがあります。セコンドの声も全部聞こえて、いろいろ考えながら試合ができました。前の試合よりも全然動けた。もう2つ3つステップアップできるなって」
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なるべく早い段階で次の試合がしたい、とも。今回はケガからの復帰初戦だから完全復活とまでは言えないかもしれないが、少なくともRENAのキャリアが蘇生したことは間違いない。晩年の踏ん張りではなく、今後の可能性を感じることのできる試合だった。
その手応えから、タイトルに言及することにもためらいはなかった。以前は練習をともにする浜崎朱加がベルトを巻いていたからRIZINのタイトルとは無縁だったが、今は違う。浜崎に勝った現王者は伊澤星花。一本勝ちの山を築く13戦無敗の26歳だ。
「今“じゃあ次”と言えるレベルではないと思います。もっと強くなってから、取り戻してから挑戦したい。次にいい勝ち方ができたら年末でも、来年RIZINが10周年なのでその時でも。私はRIZINの一発目の興行から出ているので」
引退どころの話ではない。具体的にタイトルマッチを考えるところまで、RENAは戻ってきたのだ。衰えをごまかしながら延命するのではなく、真っ向勝負での勝利とともに。