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辻陽太30歳は“オカダとオスプレイが去った新日本プロレス”の主役になれるのか?『NJC』優勝の夜にファンが見た夢「俺が新時代の象徴だ」 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2024/03/26 17:03

辻陽太30歳は“オカダとオスプレイが去った新日本プロレス”の主役になれるのか?『NJC』優勝の夜にファンが見た夢「俺が新時代の象徴だ」<Number Web> photograph by Masashi Hara

不敵な笑みを浮かべて『NEW JAPAN CUP』の優勝トロフィーを抱く辻陽太(30歳)。明確な結果を携えてIWGP王者の内藤哲也に挑戦する

ファンが夢見る辻陽太の“内藤哲也超え”

 ファンからの支持が最高潮に高まった状態の2人によるNJC決勝は、正面から全てをぶつけ合い、受け止め合い、上回り合う素晴らしい試合となった。

 序盤こそ辻の勢いが後藤を飲み込みかけたが、後藤は鬼気迫る表情で徐々に五分の勝負まで戻し、エルボー、ラリアット、頭突きといったゴツゴツした戦いで辻の笑みを崩すと、昇天・改まで繰り出して勝機を手繰り寄せた。

 どちらが攻めていても常に陽太コールと後藤コールが交差する会場は、地団駄まで響き渡り、試合開始から盛り上がりが収まることのないまま最終盤を迎えていた。

 オカダのレインメーカーポーズからレインメーカーを放とうとした後藤に対し、辻はカウンターでスピアーを炸裂。そのまま必殺のジーンブラスター(スピアー)を決め、ついに3カウントを奪った。

 この結果、辻は4月6日の両国国技館でIWGP世界ヘビー級王者の内藤哲也に挑戦することになった。2人によるシングルマッチは、2021年8月1日に行われた無期限海外遠征前の壮行試合以来2度目だ。

 辻がプロレスラーを目指すことを決心したのは、2016年に内藤がIWGPヘビー級王座を初戴冠し、ベルトを放り投げる映像を見たからだという。

 それから8年、同じ春の両国で、辻は内藤の対角線に立つ。

「夢を語らなくなった内藤に、ファンが夢を見始めている」

 テレビ朝日の野上慎平アナウンサーの名実況とともに、あの時の両国の空気が思い出される。乱入があってもベルトを放り投げても、内藤が何をしても、会場中が問答無用でそれを支持したあの異様な空気を。

「俺が新時代の象徴だ。なあみんな、その先にどんな景色が待ってるのか、一緒に歩いていこうぜ」

 辻のストレートな呼びかけを長岡の観客は支持し、拍手と熱のこもった声援がリングを包んだ。

 時代は変わり、過程は異なるが、もしかしたら今度の両国は、再びあの異様な空気に包まれるのかもしれない。今の辻ならば、“あの時の内藤哲也”にも劣らない熱狂を生み出しても不思議ではない。

 そう思ってしまうほど、辻の笑みは底知れなさを感じさせる。観衆はその魅力に惹きつけられ、すでに夢を見始めている。

【次ページ】 「新日本プロレスが世界一」を証明するために

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