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「履歴書が書けないんです」日大アメフト部“悪質タックル”の元監督、内田正人のいま 本人が明かす「追放された監督」のその後
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byYuki Suenaga
posted2024/03/09 17:00
日本大学アメフト部「フェニックス」の元監督・内田正人氏。事実上の永久追放を意味する除名処分となってから約6年の日々を振り返った
第三者委員会の委員長・勝丸(充啓)さんが不起訴となった後にコメント出しましたよね。「捜査と(第三者委の)調査では違う。自分の名前が公になる状態で署名し証拠とする捜査と、ここだけの話で署名のない話は集まってくる材料が全然違う」と。それを聞いた時に「勝丸さん、そんなこと言わないでくれ」って思ったんです。昔だったらクライアントが第三者委員会をハンドリングできて、中間報告や最終的にクライアントとすり合わせがあったと思います。でも、今はそうじゃない。担当する弁護士も次の仕事に影響するので、世論やマスコミの報道にある程度沿った調査報告書ができあがる。そういう方向に第三者委員会のあり方が進んでいるなと思いました。
昨今は第三者委員会でちょっとオーバーな表現で一般人がほぼほぼ私刑にあったような待遇を受ける可能性がありますよね。だから、人間の人権ってことを考えた場合、今はもう限界に来ているんじゃないかと。
刑事事件となってラッキーだった
――不起訴となったことで身の回りの変化はありましたか?
世間の目はほぼほぼ変わらないですよ。ただすごくラッキーだったのは刑事事件になったことです。
――ラッキーだった?
僕が関学大の人間で“内田憎し”だったら、刑事事件にはしないです。なぜかというと、怪我したQBは前半のその後は出なかったけど後半出ているんですよ。そして2カ月の診断書で被害届を出したんです。警察がその点をどう見るか。だから日大を完全に打ちのめすのが目的であれば、僕だったらわざわざ刑事事件にしないです。
最終的にそういった係争に白黒つけるのは警察であり、検察であり、裁判官っていうのが僕の考えです。司法機関が判断するのが、僕は正解だと思っているんです。
今の日大は「村八分どころか村九分」
――内田さんと同じく、宮川選手に指示したとされるも不起訴となった井上奨コーチなど大学の関係者とは今もやりとりをしているんですか?
井上とは結構してますよ。ただ、大学の中の人間は僕と連絡取っちゃだめなんですよ。
今は元理事長の田中(英寿)体制を支えた人間をシャットアウトしています。村八分どころじゃなくて、村九分ぐらいのことをやっている。これ、大学の組織として、一種の人権侵害だと思いますよ。
猫の動画を毎日見ちゃう
――2018年の監督辞任後、アメフト部には関わっていない?
後任の監督が辞めて、監督不在で臨時ヘッドコーチの体制になった時にコーチの推薦を非公式に行うことはありました。でも今は全く関わっていません。試合を見に行ったこともありましたけど、「なんで来ているんだ」という話になったと噂で聞きました。
2020年前立腺ガン、2021年大腸ガンが見つかったりして、2年間ほどはその治療に専念していました。その後、回復していく中で15km~20kmくらいほぼ毎日歩く生活を続けてきました。
――他に毎日されていたことは?
もともと映画や音楽が好きなので、映画を見たりNetflixなどを見たり、あと猫の動画を毎日見ちゃいますね。ショート動画とかずっと見てられます。
お前、何やっているんだ、うちに来い
――再就職などは考えましたか?