馬場は去年秋に日本に戻り、今季はBリーグの長崎ヴェルカでプレーしている。NBA入りを目指して19年にアメリカに渡ってから4シーズンの間、アメリカのNBA傘下Gリーグのテキサス・レジェンズとオーストラリアのNBLメルボルン・ユナイテッドで活動してきた馬場にとって5年ぶりのBリーグ復帰だ。

　とはいえ、決してNBA入りを諦めたわけではなく、むしろNBAに入るための道として、パリ五輪に向けての1シーズン限定の準備期間と考え、ヴェルカを選んだのだった。

　日本に戻ることに不安がなかったと言えばウソになる。

「やっぱりアメリカにいるほうが見られていますし。でも、そこは現実をちゃんと見なくてはいけなかった。ワールドカップが終わった時点で（肩に）怪我をしている。パリまで時間がない。そこを考えたうえで最善の選択をしたと思うので。もちろん不安はあるんですけれど、そのとき、そのときでやれることを100％やるのみかなって」

「でも、1回アメリカでやったことがすごく大きいなと思っていて。その時点で僕の名前っていうのは彼らの耳に入っているっていうことは聞いていますし、パリ（五輪）でNBA選手たちに向かってどれぐらいできるかっていうところはひとつの目安だと思います」

ヴェルカ長崎でプレーする馬場　©︎B.LEAGUE

決め手になったホーバスHCの助言

　日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチ（HC）から受けたアドバイスも、ヴェルカ選択の決め手となった。

　ホーバスHCは当時を振り返って、こう説明した。

「彼が決めたことはどんなことでも応援するつもりでしたけれど、彼のキャリアの中で、今は試合に出ることが大事だと思いました。Bリーグの試合の中で中心選手としてやることが必要だと思ったんです。そうすることが、彼の成長にとって大きな助けになると思いました」

　アジアカップ予選の中国戦での馬場は、まさにホーバスHCが思い描いていたような活躍を見せ、それもあって、アジアの強敵、中国に勝利することができた。試合後、ホーバスHCは馬場について「誇らしい」と称賛した。

馬場を労うホーバスHC　©︎Takashi Aoyama/Getty Images

「最初に（代表で）プレーするようになったときに、もっと得点を取るスコアラーになってほしいと頼みました。まずシュートを狙うメンタリティです。きょうの彼は3ポイントを6本打って4本決めました。それこそ、私が彼に思い描いていたことです。（それによって）彼のゲームのバランスがよくなり、中国が彼の3ポイントショットを警戒するようになったことで、ドライブするスペースもあくようになり、フリースローも獲得できました。こういうプレーに慣れてくれば、この先、もっと活躍できるようになります。そのことにワクワクしています」

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