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“1年限定のBリーグ電撃復帰”で何が変わった? バスケ日本代表・馬場雄大28歳が本音で語った「パリ五輪→NBA挑戦」の青写真 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2024/03/05 17:27

“1年限定のBリーグ電撃復帰”で何が変わった? バスケ日本代表・馬場雄大28歳が本音で語った「パリ五輪→NBA挑戦」の青写真<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

FIBAアジアカップ予選・中国戦で活躍した馬場雄大(28歳/長崎ヴェルカ)

 去年のワールドカップでの日本代表は歴史的な結果を残し、パリ五輪出場という大きな目標を達成した。馬場も、そのことを涙を流すほど喜んだ。その一方で、個人的には不完全燃焼な部分もあった。肩の故障もあったのだが、後から振り返ると、結果を出そうとしすぎていたことに気づいたのだという。

 それは馬場にとって、持っていて当然なメンタリティだった。GリーグもNBLも、日本での実績は関係ない世界で、毎試合、結果を出さないと出場時間さえもらえない。若いチームメイトたちはみんなパスよりシュート第一。その中で馬場は、自分なりの「正しいプレー」にこだわりながらも、チームメイトに負けないメンタリティを出す必要もあった。それをなんとか両立させようと、悩み、もがいていたのだ。それにワールドカップがNBAへの扉を開けるために重要な大会だったからこそ、結果を出したいという思いもあった。

Bリーグに抱いた小さな違和感

 2月の代表公開練習のときに馬場が言っていたことで、印象的な言葉があった。Bリーグに戻ってプレーして新たに発見したことを聞かれたときだ。

「日本のリーグはちょっと特殊だなっていうのをすごく感じていて。チームを意識してるチームが多くて、正直やりづらさはあります」

 過去4年を海外リーグで過ごしてきたからこそ感じる、小さな違和感だった。だからといって、その違和感に過敏になるのではなく、その中でできることを探すのが馬場流のやり方だ。アメリカでもオーストラリアでも、そうやって成長してきた。

 日本に戻ってきて成長できた部分を、馬場はこう説明した。

「まず技術的なところで言うと(ディフェンスの)プレッシャーのところ。僕がアメリカでやるにあたって(後ろに)下がっていくディフェンスだけじゃ、何のインパクトも与えられないですし、アメリカという環境で信頼を得るまでボールもそんなに回ってこないっていう状況の中で、やっぱり見せられるのはディフェンスだと思うので。そこに関しては長崎で常に意識してやっています。

 オフェンスに関してはメンタルのところ。自分がやるという覚悟。アメリカにいるときって、どうしても責任がフワフワとしているところがあったので。やっぱり、この気持ちの部分、覚悟を入れる部分というのは、たとえばボールを持っていても持っていなくてもいっしょだと思うので。それに関しては確実にアメリカに向けて、NBAに向けてつながる準備になっているとは思います」

 自分の責任と覚悟を認識しながらチーム全体について考えることも、日本にいるからこそ思い出せたし、気づけたことだった。

「バスケットボールってみんなでやって、みんなでいっしょに上がっていくもの。1人だけがよくてもいけないし、もっとチームメイトを大切にするところだったり、ポジティブなエネルギーを与えることも必要。自分自身はもっと覚悟を決めるっていうところがBリーグに入ってから変わったところかなと思っています。自分よがりじゃなくてまわりを大切にして、もっと明るくポジティブにというところで気持ちの変化はあったかなと思ってます」

【次ページ】 「目標があれば、どこにいてもいい」

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